「オレの×××」 - X1

 ─真宙side─


「ヤベ、ヤりすぎた……」


 潮を吹いたからクンニをやめてやると、坂下はぐったりとして意識を失っていた。


 気絶するとは思ってもいなかったから、ついやりすぎたようだ。


 つーか、処女のくせに潮吹くとか、どんだけだよ……。

 とは思いつつ、自分のせいでもあるから、強く言えるはずがない。
 しぶしぶ処理を済ませて、坂下の乱れなども直してやると、ブレザーのポケットの中に入っていたスマホが震えた。
 普通ならプライバシー侵害とかだろうが、どちらにしても連絡を取ろうと考えていたから、迷わず取り出してみると、ラインで、「萌」という女性からのメッセージだった。
 誰だ……? と思いながら見てみると、『今から迎えに行くからね!』だそう、つまり家族の一人だろう。
 文面からして姉か妹のどちらだ。


 ちょうどいいな……少し待ってたら、到着のメッセージ来るだろ。


 バッグも準備してやり、しばらく自分のスマホを弄っていると、数分足らずで坂下の携帯が震える。
 確認すれば、『着いたよー!』と文末にハートマークがついたメッセージがやってくる。


 早ぇ……近いのか?

 文面見ると妹……なのか?


 とにかく迎えに来てくれたからには好都合だ、妹なら自分が背負っていけばいい。


 坂下の鞄も持ち、昇降口を抜けていく。
 しかし、誰の姿もない。
 校門の前で待っているのかと思い、校門を潜ると、人の姿はなく、あるのは派手な赤い車だけ。


 まさかだと思うけど、アレで迎えに来た……とか言わねぇよな?


 どうしようかと校門の前で立ち尽くしていると、その赤い車はゆっくり前進して、俺の前で停車すると、ウィーンと音を立てて窓が開いた。
 少し疑ったが、奥の運転席にいたのは会社帰りの美人OLらしき女性が声をかけてきた。


「あれ? もしかして、君が背負ってるの、奏?」

「え? あ、ああ……そうですけど」


 そういや、名前、奏って言うんだけっかと思いながら応対すると、その女性の顔がぱぁあああと明るい笑顔を作った。


「ありがとうね。背負ってくれて。私、奏の姉の、萌。よろしく」

「は、はあ……」

「よかったら、乗って」

「え、いや……でも」

「いいから、いいから。奏は後部座席でいいから、助手席に乗って。お礼だから、送ってくよ」

「は、はあ……」


 まさかの姉かよ……と俺の予想とは裏腹の結果で、さらには推しが強いと来た。
 気圧されるまま、同乗させてもらうことになったのだ。
- ナノ -