「俺かよ!?」 - 09

 ………………



「ん……」


 目を覚ますと、山下君も同じタイミングで起きたのか、瞼を開いたところだった。


「はよ」

「お、おはよう、ございます……」

「珍しいこともあるモンだな。同時に起きるなんて」

「そ、そうですね……」

「どした? 調子悪そうにして」

「すごく……腰が痛いです……」

「そんなにかよ?」

「まだ揺れてます……」

「はは、悪い悪い」

「う……反省してくださいっ」

「お、奏が怒った。珍しいな」

「ごまかさないでくださいっ」

「そんな怒んなよ」


 チュッ、と山下君は唇にキスを落とした。
 不意打ちに、私の顔が一気に熱くなる。


「怒った奏も可愛いな」

「えぇっ!?」

「ンだよ。別に、彼女に可愛いだの言っていいだろ」

「だ、だって……初めて聞きました!」

「そんなに驚くんだったら、もう一生言わねぇ」

「えぇっ!?」

「はは、冗談冗談」

「えぇ……」

「これからも何度だって言ってやるよ」

「あ……ありがとうございます……?」

「奏みたいなおもしろいの、なかなかいねぇし……。簡単に手放してやんねぇから。覚悟しとけよ?」

「え……えぇえええっ!?」


 もしかして……それは、プロポーズみたいな!?


 開いた口が塞がらない私を見て、笑って、微笑んだ山下君は私の耳元でそっと囁いたのだった。


「もう、お前は俺だけの愛玩オモチャだからな」


 ──と。



Fin.
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