「私の秘密」 - 11

 はぁ、はぁ──私の口から紡がれるのは、息切れに似た荒い呼吸だけだった。


 こんなキスがあるとは知ってはいたが、ここまで苦しいものだとは知らなかった。


 呆然とぼやけた視界で山下君を見ると、自分の唇を舐めているところだった。


「すげー涎れ……ホントに処女なんだな、お前」

「う……だから……、そうだと──」


 何気なく山下君の手元を見ると、なぜか私の眼鏡が握られていることに気がつく。
 慌てて顔に手を伸ばせば──やっぱり眼鏡がない。


「ん? 眼鏡、探してんの?」

「か、返して……っ」

「お前、コンタクトの方がいいんじゃね?」

「え……?」


 くいっと顎を掴まれると、視線を固定されて山下君と見つめ合う形になる。
 眼鏡をかけていないはずなのに山下君の顔が鮮明に見え、顔が熱くなるのが分かる。


「やっ、離し──」

「お前、変わりたくねぇの?」

「えっ……?」

「俺が、変えてやろうか?」

「え、え……あ、あの」

「そうだな……。まずは、俺のセフレからどうだ?」

「え……!」

「その代わり、俺がいろいろアドバイスしてやるよ。お前だって、恋とかしてぇだろ? だったら、拒否る意味はねぇよな?」

「あ……う……」


 私に拒否する選択も、権利もなかった……。


 ──ああ……どうして、こんなことになっちゃったの……?


To be continued...
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