「うぜぇよ!」 - 04
「はぁ? マジかよ、それ」
「そ、そうみたいです……」
後々になって山下君にバレ、また誤解が生まれないように私は次の日になって芦屋君の秘密を教えた。
「アイツに好きなヤツができたぁ?」
「そうみたいですね……」
「へぇ……」
どうやら、そのようで。
相手は誰なのかはさすがに教えてはくれなかったが、あの芦屋君が片想いしているらしい。
「すげー気になるな……」
「で、ですよね。でも、全然、教えてくれなくって」
「ふーん? ──で?」
「えっ?」
「お前、マジに謝ったわけ?」
「そ、そうですけど……」
「はぁ? 別に謝んなくてもいいのに……」
「そうはいかないです! でも、おかげで秘密も教えてくれたし……」
「はぁ、お前ってマジにお人好し……」
「ご、ごめんなさい……」
「ま、今さら仕方ねぇけど……。それがお前のよさだし?」
「それ、褒めてます?」
「褒めてるつもり」
「そ、そうですか……」
あっさりと返されては、これ以上言えることはない。
「おっはよー!」
「わっ!? 芦屋君!?」
後ろから芦屋君が元気よく走ってきたかと思えば、そのままの勢いで山下君に飛びついた。
「おまっ……なんちゅー勢いで来るんだよ……」
ドンッとすさまじい音のあと、山下君が転ぶすんででなんとか片脚を踏み出したので事なきを得られたものの、危うくけがをするところだった。
「いやー、悪い悪い」
「つーか、離れろ!」
「へいへい。朝から冷てーなぁ、山下は〜」
「うぜ……」
「うぜ!? 聞いた、奏ちゃん!? 俺にウザいって!」
「いや……さすがに朝からそのテンションは……ついていけないです……」
「うわぁ、ひでぇわー」
「つーか、何しに来たんだよ……」
「何って……。一緒に登校しようぜって思って」
「はぁ?」
「だって俺、奏ちゃんのトモダチだし? 奏ちゃんの彼氏の山下も友達じゃん?」
「何、その理屈……。ついてけねぇ」
「うーわ。冷たさは彼女と同じ!」
「お前って、そんな馴れ馴れしかったのな……。もう少し爽やか系だったろ?」
「いいじゃん、いいじゃん〜。細かいことはさぁ。ほーら、一緒に行こうぜ!」
「へいへい……。勝手にほざいてろ……。この際、友達でも何でもやってやるよ」
「やったぁ、山下クン優しい〜」
「うぜぇよ!」