「私の秘密」 - 09

「さて、と」


 しばらく山下君は笑ったあと、未だに持っていた私のローターを突きつける。


「なあ、これ使ってみろよ」

「えっ?」突然、信じられない台詞を言われ、驚くなと言われても目を丸くして驚くしかない。


「えっと……今から、ですか?」

「そうだけど?」

「む、無理です無理です! そんな、恥ずかしい……っ」

「学校で散々オナっといて、何を今さら恥ずかしがってんだよ」

「だ、だって! 山下君の目の前でやれってことですよね? 誰にも気づかれないからってことで、私はやってただけで……!」

「あー、もう。ごちゃごちゃ言うな。じゃあ……ほら。俺が挿れてやるから」

「ええっ! あ、あの、ちょっと待っ──んんっ!」


 私の中にローターが戻ってきて、声を上げてしまう。


 そして、挿入し終えた山下君は私のブレザーのポケットに手を入れ、リモコンを取り出す。


「やっぱポケットかよ。落ちたらどうすんだよ」

「あ、あのっ、返して……あぁッ!?」


 先程まで感じていた痛みなんかどこにもなくて、やって来るのは中の震動といつも感じる心地良さ……。


「まずは《弱》だよな。いつもは震動どれくらい?」

「あっ、あん……ッ! 《中》っ……ぐらい、です……!」

「ふーん。じゃあ、《最強》とかはしねぇの?」

「は、はい……ッン!」


 ガクガクと膝が笑う。
 当然、いつもは座るか、ベッドに横たわるかのどちらかなので、立ちながらは初めてで、どうすればいいのか分からない。


「あッ……! あ、あァ、アァん……!」

「さっきとは大違いだな」

「あァッ!? ──やっ、待ッ……あンッ、あっ、あぁッッ」


 ローターの刺激が強くなり、私は地べたに足をついてしまう。
 膝だけガクガク言っていたはずなのに、今は全身にまで及び、もうイったような感じ。
 だが、それでも山下君の中に握られたリモコンが解放してくれない。


 私がじっとリモコンを持つ左手を見ていることに気がついた山下君は、ニヤリといたずらっ子がしてみせる笑みを浮かべる。


「すげぇ感じようだな……。なあ。《最強》にしたらどうなんの?」

「えっ……あァッ──や、だめ……ッ」


 頭を左右に、それはもう何度でも振って懇願する。
 しかし、山下君の指はリモコンのスイッチに置かれ──最上部にスライドした。


「アァアアァッ!?」


 ローターが激しく震えると同時に私の腰がビクビクと痙攣したかと思えば、突然、頭がふわふわ夢見心地に襲われる。
 今まで《最強》レベルを試したことはなかったので、あまりにも強すぎるその刺激はやはり厳しかった。


「案外、簡単にイったな。──俺、オモチャ責めってしたことねぇから、加減判んねぇだよな」


 はぁはぁと息を切らしながらぼやけた視界で山下君を見れば、とても楽しそうに笑っている。
 山下君の見ている前で、こんなに簡単にイってしまう自分が本当に悔しい。
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