「──のカタチ」 - 07

 私の体は自然に──そう、ごく自然に山下君に抱き着いていたんだ。


「お、オイ──」

「ごめんなさい……本当に……。ごめんなさい……山下君のこと、全然考えてなくて……」

「奏……」


 私が突然に起こした行動に驚いたせいか、固くなっていた山下君の体だったが、私の名前を呼んだことによって力がけていくのがはっきりと伝わる。


「だって……山下君と付き合ってるって実感が全然湧かなくて……。今まで通りエッチなことされてるって感じが抜けなくて……。だから、山下君のこと、全然、考えられなくて……」

「ああ……。何か……悪ぃな……」

「ホントにごめんなさい……」


 ぎゅうぅぅっ──強く抱きついて、少しでも、より強く、私の伝えたい思いが届けば……そう思いながら。


「ああ……うん。俺も悪かったわ……ごめん」

「私のほうこそ……」

「──ま……これでおあいこな」

「はい……」


 山下君の伝えたい思いというのが、少し届いた気がした。


「ところで……奏」

「はい?」

「いつまで抱きついてるつもりなんだ?」

「あっ……!」


 そう言えば──! と思ったのも束の間、山下君の唇が重なった。


「ん……山下、君……?」

「すげームラムラしてきた……。お前の体、ヤバすぎ……」

「え……!」


 山下君は熱い吐息をひとつ吐き出して、私の胸を揉みしだいた。


「んっ……!」

「今日の格好、いつもと違うし……。女子と男子とは違うんだな?」


 確かに、今日はどちらかと言えば友達と遊ぶというのが目的だったのため、山下君と一緒のときよりはラフな感じで動きやすいようなファッションにしてみたんだ。


「見せすぎじゃね? 肌」


 オフショルダー寄りではあるトップスなのでそう思われても仕方がないとは思うが、そこまで気にしなくても……と個人的には深く考えていなかった。


「だって今日、友達と遊ぶだけだったし……」

「ふーん? でも、行った先に男がいんじゃん……。目ぇつけられたらどうすんだよ」

「そんなこと……ん!」


 山下君は肩にひとつキスを落とした。


「お前……ホントに自覚なさすぎ……」

「だから、それは謝って……!」

「そういう意味じゃねぇ」