「好きです」 - 17
そうこうしているうちに家に到着。
相変わらず、我が家から母と姉の笑い声が聞こえてくる。
「へえ……。すげー楽しそうじゃん?」
「いつもこうだと、疲れます……。──あ、ありがとうございました。ここで大丈夫ですから」
「そうか? でも、一応、挨拶だけしたほうがいいんじゃ」
「本当に大丈夫です!」
「そんなに必死だと、逆に煽られんだけど……」
「あっ」
山下君は私の制止に耳を貸すことなく、インターホンを押してしまった。
すると、我が家から聞こえていた笑い声が聞こえて、機械の向こうから「はーい」と母の声。
もう、後戻りはできない……。
「すみません、夜遅くに」
『はい。どなた?』
「あ、あのっ、お母さん? 私、奏!」
『えっ、奏? ──ああっ、もしかして、さっきの彼、ウワサの!? きゃああぁぁ! ちょ、ちょっと待ってね! 萌! 萌ー!』
「ちょっ、お母さん!?」
インターホンが切れてしまい、流れる沈黙が私の胸をざわつかせた。
しばらくすると、玄関から母親と姉がすごくうれしそうにして扉を開けて出迎えてくれた。
しぶしぶ、門扉を開けて二人の元まで歩くと、山下君を目にした母が口を覆ってぼそり「イケメン……」と呟いた。
「もしかして、奏の彼氏の……!?」
「はい、山下真宙って言います。すみません、こんな夜遅くに」
「い、いいのよ! 通りで帰りが遅いって思ったら……こういうことだったのね、奏!」
「う、うん……」
母の目がこれ以上にないくらい輝いている。
さすがに娘の私でも引いてしまう。
「こんな時間まで奏さんを引き止めちゃって……ホントにすみません」
「大丈夫よ! こんな娘だけど、いくらでも夜遅くまで一緒にいても!」
簡単に娘を差し出さないでよ……。
「いえいえ。今度はちゃんと連絡しますから。──じゃあ、すみません。俺、そろそろ帰りますね」
「大丈夫よー! なんだったら、今度遊びに来てね! サービスしちゃうから!」
「ありがとうございます。じゃ、これで。──じゃあな、奏」
「は、はい……おやすみなさい」
山下君は私に軽く手を上げ、母たちには頭を下げて帰っていった。
山下君がいなくなったことを確認すると、母と姉はまた恋バナに目を輝かせる少女みたいな顔で私を見つめ、その後は怒涛の質問攻めが始まったのだった……。
相変わらず、我が家から母と姉の笑い声が聞こえてくる。
「へえ……。すげー楽しそうじゃん?」
「いつもこうだと、疲れます……。──あ、ありがとうございました。ここで大丈夫ですから」
「そうか? でも、一応、挨拶だけしたほうがいいんじゃ」
「本当に大丈夫です!」
「そんなに必死だと、逆に煽られんだけど……」
「あっ」
山下君は私の制止に耳を貸すことなく、インターホンを押してしまった。
すると、我が家から聞こえていた笑い声が聞こえて、機械の向こうから「はーい」と母の声。
もう、後戻りはできない……。
「すみません、夜遅くに」
『はい。どなた?』
「あ、あのっ、お母さん? 私、奏!」
『えっ、奏? ──ああっ、もしかして、さっきの彼、ウワサの!? きゃああぁぁ! ちょ、ちょっと待ってね! 萌! 萌ー!』
「ちょっ、お母さん!?」
インターホンが切れてしまい、流れる沈黙が私の胸をざわつかせた。
しばらくすると、玄関から母親と姉がすごくうれしそうにして扉を開けて出迎えてくれた。
しぶしぶ、門扉を開けて二人の元まで歩くと、山下君を目にした母が口を覆ってぼそり「イケメン……」と呟いた。
「もしかして、奏の彼氏の……!?」
「はい、山下真宙って言います。すみません、こんな夜遅くに」
「い、いいのよ! 通りで帰りが遅いって思ったら……こういうことだったのね、奏!」
「う、うん……」
母の目がこれ以上にないくらい輝いている。
さすがに娘の私でも引いてしまう。
「こんな時間まで奏さんを引き止めちゃって……ホントにすみません」
「大丈夫よ! こんな娘だけど、いくらでも夜遅くまで一緒にいても!」
簡単に娘を差し出さないでよ……。
「いえいえ。今度はちゃんと連絡しますから。──じゃあ、すみません。俺、そろそろ帰りますね」
「大丈夫よー! なんだったら、今度遊びに来てね! サービスしちゃうから!」
「ありがとうございます。じゃ、これで。──じゃあな、奏」
「は、はい……おやすみなさい」
山下君は私に軽く手を上げ、母たちには頭を下げて帰っていった。
山下君がいなくなったことを確認すると、母と姉はまた恋バナに目を輝かせる少女みたいな顔で私を見つめ、その後は怒涛の質問攻めが始まったのだった……。