「好きです」 - 13

 山下君……気持ちいいの……?

 私、何もしてないのに……。


 不思議さと、不安と……ほんのちょっとのうれしさ。
 もやもやした気持ちなのに、体の奥がやっと山下君に慣れてきたのか、だんだん痛みもなくなっていって。


「は……ァ……ッ山下、君……」

「ん……? 何……っ?」

「気持ちいい……です……」

「慣れて、きたか……」

「んんっ!」


 またキスを重ねて、それでも飽き足らずにキスを何度も何度も重ねて……。


「アッ! ンッ、んっ! 山下くっ、山下くぅん……ッ」

「そんな……声で呼ぶなよ……ッ」


 押し寄せてきた痛みも、快感のほうが勝って、山下君の名前を呼ぶ。


「はっ、はっ……ン、ンン……、すげーいい締まりっ……!」

「アアッ!」

「奏……好きだ……好きだ……ッ」

「アッアッアッ! 山下く……私も、好き……好きぃ……っ」


 またキスして、また「好き」を言い合って……そんな単純作業みたいな流れなのに、幸せを感じていた。


「もうっ、離さねぇから……ッ」

「アッアッアッ! やっ、ま、待って……! や、イっちゃ……イっちゃうぅぅっ!」

「イってもいいけど……先に果てんなよっ……」

「アアァァァァッ!」


 そんなの……無理、だよぉ……。


 頭の中がチカチカとフラッシュが焚かれ、私の意識がまた飛ばされる。
 それなのに、まだ体の揺れは止まらない……。


「アッ……アアッ……! や、も、だめ……だめぇ……っ」

「俺も、そろそろ……無理ッ……」


 ズンッ──! より一層深い突き、より一層眩しい光が光って、とうとう私の意識がぷっつりと切れてしまったのだった。
 苦しくて、息が詰まりそうな、初めての最後……。
 それなのに、私は満たされていた……。