「好きです」 - 12

 うれしい。
 そんな一言でしか言い表せないのがとても歯痒い。


 でも──伝えたい。
 今は、そんなことでしか山下君に返せないから。


「うれしいです……」

「ん?」

「すごくうれしいです……ありがとうございます……」


 恥ずかしいけれど、それでも、言えた。
 今は、こんなことしか言えないけれど、山下君でよかったよ……。


「おま……すげー恥ずかしいこと言うな……」

「え……?」

「今の……すげー来た……っ」

「え……っ──あっ!?」


 ずんっ、と奥に突き上げられるような感覚のあと、一気に圧迫感が襲ってきた。


「やべ……ッ、すげ、うねって……ッ」

「やっ!? や、山下くっ……やあぁ!?」


 ズンッズンッと固くて熱いモノが奥に当たりそうなほど、深く突かれ……軽く意識が飛ぶ。


「やっ、ま、待って──山下君っ、痛ぃ……!」

「わり……でも、すげー気持ちいい……っ」


 山下君はなんとか自重して腰の勢いを落とす。
 先ほどよりは圧迫感はなかったが、それでも山下君の突きによってじんじんと痛む。


「や、痛……痛いよぉ……っ」


 これが、エッチ……。

 エッチって、こんなに痛いんだ……。


 最初は気持ちいいと思っていたのに、挿入されたことによって痛みが数倍も勝る。


「ごめ、なさ……ごめんなさい……っ」

「謝んな……っ、ちゃんと捕まってろ……」


 山下君が私の腕を持って、自分の首に回す。
 私は言われたとおりに山下君にしがみついて、忘れかけていた息をする。


「まだ痛ぇか……?」

「はい……」

「じゃ……キス、しよっか……」

「え……でも……舌、噛んじゃ……」

「いいっての……少しは楽になる……」


 もう何度目か分からない、山下君の唇が重なる。
 同時に揺れも再開され、痛みに顔を歪ませながらもキスに答える。


「ん……ふ、は……んぅっ……!」


 舌が入ってきたその瞬間も、また痛みが走って……。


「や……だ、だめ……んぅ!」

「は……ん、んく……ァ……ッ」


 山下君の舌を噛んでしまうと思って顔を離したが、山下君が無理やり唇を奪う形でキスを繰り返す。
 そして、しばらくすると、山下君の口からもエッチな声が聞こえてくる。