「好きです」 - 10

 はぁ、はぁ……山下君とのキスが終わったときには、ふわふわと落ち着かない気分と、ぼやけた視界に入る山下君のにやりと笑っている表情だけ……。


「すげー涎……。そろそろ大丈夫かな……下もすげーことになってるし……」


 山下君の手が下へ言ったかと思えば、また引き戻してきた頃にはトロトロの液体がまとわれている。
 その手に付着した液が指が動くごとにてらてらと輝いて、糸を引く。


「奏……挿入れるからな……」そう言って、山下君はとうとうガウンを脱いだ。


 初めて見た山下君の体はやっぱりすごい筋肉質で……たくましい。
 体までかっこいいなんてズルすぎる。


「ちゃんと呼吸しろよ……」

「は……い……」


 ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……胸騒ぎがする。
 落ち着かない。


 今まではオモチャで満足していたはずだったのに、いつの間にか山下君の舌も、指も欲しくて……欲しくてたまらなかった。


 きっと、ここで処女を捨てて、山下君のカタチを覚えてしまったら私はもっともっとハマっていって……もう戻れなくなる。


 それが嬉しくもあって、怖いことでもある。


 でも……それでも、私は知りたい。
 山下君のカタチも、山下君のすべても。


「あ……」


 山下君が私の両の手を握ってくれる。
 そして、もう解けないように指を絡めて、きつく握って。
 たったそれだけで安心できていた。


「痛かったら言えよ……。ゆっくりやるから」


 こくん、と小さくうなずく。


 山下君はそれを確認すると、体と体を密着させて、入口に山下君のモノを宛がった。
 それは、本当に同じヒトの部位なのかと疑ってしまうほどに、固くて──熱い。


 こんなのが、入ってくるんだ……。


「挿入れるぞ……」


 ぐ……入ってきた。


 突然に感じた圧迫感。
 入口を押し広げられる感覚。
 大きなモノが滑って、奥へ少しずつ入っていく感じがあった。


「ん……」


 言われたように吸って吐いてを繰り返し、収まりきるのを待つ。