「好きです」 - 07

「ん……」


 ガウンの帯の部分が既に外されていて、はだけたところから山下君の手が滑り込んでくる。
 わざとだ、指先で少し胸の先端を当てると、ピクンッと体が反応する。


「や……」

「ん? 何?」

「な、なにって……」


 私の反応を見て、くすりと笑う山下君。
 そこにはやっぱり、余裕たっぷりの意地悪な笑顔があった。


「はっきり言ってみろよ?」

「や、恥ずかし……っ」

「ちゃんと教えたろ? ここ、何ての?」


 ピンッとデコピンの要領で弾かれ、「んっ!」と声が洩れてしまう。


 こんなときにまで……意地悪……。


「ち、乳首……です……」

「うん。で、ここどうしてほしいんだよ?」

「ちゃ、ちゃんと……触って、下さい……」

「ちゃんと?」

「そ、それ以上はやぁ……っ」

「ははっ、そっか」


 了解の意を示した山下君はガウンを脱がし、裸を晒す。
 予想外の行動を取った山下君を潤んだ視界に捉え、胸と下半身の最も恥ずかしい部分を手で隠した。


「や、見ないでぇ……」

「何で? さんざん見せてきたろ」

「だ、だって、今日、いつもと違います……っ」

「いつもと、何が違ぇんだよ?」

「だ、だから……今日はその……えーと……っ──と、特別な日、だから……」

「特別な日、ねぇ……」


 えっ、呆れた!?

 私、変なこと言った……!?


 思っていた反応と違って、動揺する。
 そんなときに、山下君は私の唇にまたキスを落とした。


「そんなの……明日から当たり前だろ? 俺ら、今、付き合ってんのに……」

「え……っ」

「『えっ』て何だよ……。だから、明日からはお前の言う『特別な日』ってのが当たり前になんだろうが。違うか?」

「ち、違わないです……」

「だろ? だからこそ、お前の……奏の体が見てぇんだよ。いつまでも慣れねぇのも……俺も困る……」

「困るんですか……?」

「はぁ!? 当たり前だろ! いくら、どんな女抱いても一人一人違ぇし! ──それに……好きな女の体見たら、いちいち反応すんのが男だろうが……」


 山下君の耳がまた赤くなっている。


 それを見て、また笑ってしまう。


「笑うなっての!」

「ふふ……ごめんなさい……」

「ったく……バツだ、このやろ」