「好きです」 - 01
あの日から5日後。
山下君はまだ登校していなかった。
やっぱり、避けられてる……。
山下君、来ないのかなぁ……。
昼休みになっても、登校してくる気配はない。
「今日もダメか……」
また屋上で一人、柵越しから見下ろしてみるが、結果は変わらない。
「山下君……会いたいよ……」
やっと告白できる決心がついたのに、その相手がいない。
開いてくれた花が蕾に戻ってしまう……そんな寂しい感覚だ。
「山下君……好きです……」
「──こんなところにいたのかよ」
「え? えっ……山下君!?」
閉ざされていた扉が開いたことも気づかなかった私。
突然に現れた山下君が信じられなくて、その姿を確認できているはずなのに、思わず訊いてしまう。
「な、なんで……?」
「何で……って、そりゃ、学校に来たからに決まってんだろ」
夢ではないようだ。
「こんなところで何してんだよ」
「何して……って、別に……」
ドキン──ドキン──ドキン──ドキン──
心の準備ができていなくて、心臓の音がうるさい。
「お前ってそんなに屋上好きだっけ?」
「たまたまです……」
普段、人はあまりいないので、ここが落ち着くのだ。
「ふーん……」
「山下君こそ、どうしたんですか? 今まで学校にも来てなかったし……」
「別に……」
答えになっていない……。
「………………」
長い沈黙。
早く……早く言わないと、山下君が行ってしまう……。
分かっているはずなのに、いざとなってしまうとたったの4文字が言えない。
「じゃ……そろそろ授業始まるから、行くな。お前も早く来いよ」
そんな……私……何も言えてない……!
「山下君……! ──きゃっ……!?」
「は? ──うわっ……!」
山下君が踵を返して、一拍置いてから私も右足を一歩引いて半回転しようとしたその瞬間、何もないはずなのによろめき、山下君にぶつかった拍子で倒れてしまう。
「いったぁ……ご、ごめんなさい……」
「いってぇ……普通、こんなところでこけるかよ……」
山下君を下敷きにしてしまっていたことに気がつき、急いで起き上がろうとする。
しかし──
「えっ!?」
背中に回された腕によって、山下君の胸に顔を押しつける形になってしまう。
山下君はまだ登校していなかった。
やっぱり、避けられてる……。
山下君、来ないのかなぁ……。
昼休みになっても、登校してくる気配はない。
「今日もダメか……」
また屋上で一人、柵越しから見下ろしてみるが、結果は変わらない。
「山下君……会いたいよ……」
やっと告白できる決心がついたのに、その相手がいない。
開いてくれた花が蕾に戻ってしまう……そんな寂しい感覚だ。
「山下君……好きです……」
「──こんなところにいたのかよ」
「え? えっ……山下君!?」
閉ざされていた扉が開いたことも気づかなかった私。
突然に現れた山下君が信じられなくて、その姿を確認できているはずなのに、思わず訊いてしまう。
「な、なんで……?」
「何で……って、そりゃ、学校に来たからに決まってんだろ」
夢ではないようだ。
「こんなところで何してんだよ」
「何して……って、別に……」
ドキン──ドキン──ドキン──ドキン──
心の準備ができていなくて、心臓の音がうるさい。
「お前ってそんなに屋上好きだっけ?」
「たまたまです……」
普段、人はあまりいないので、ここが落ち着くのだ。
「ふーん……」
「山下君こそ、どうしたんですか? 今まで学校にも来てなかったし……」
「別に……」
答えになっていない……。
「………………」
長い沈黙。
早く……早く言わないと、山下君が行ってしまう……。
分かっているはずなのに、いざとなってしまうとたったの4文字が言えない。
「じゃ……そろそろ授業始まるから、行くな。お前も早く来いよ」
そんな……私……何も言えてない……!
「山下君……! ──きゃっ……!?」
「は? ──うわっ……!」
山下君が踵を返して、一拍置いてから私も右足を一歩引いて半回転しようとしたその瞬間、何もないはずなのによろめき、山下君にぶつかった拍子で倒れてしまう。
「いったぁ……ご、ごめんなさい……」
「いってぇ……普通、こんなところでこけるかよ……」
山下君を下敷きにしてしまっていたことに気がつき、急いで起き上がろうとする。
しかし──
「えっ!?」
背中に回された腕によって、山下君の胸に顔を押しつける形になってしまう。