「俺と付き合ってよ」 - 07

「あっ……アッアッ……! あ、そこ──どっちも気持ちぃっ……気持ちいいよぅ……っ」


 声が止まらない……。

 恥ずかしいのに、言いたくて仕方がないなんて変だよね……。


 それでも、山下君に少しでも気持ちが伝わるなら、それだけでいい。
 もっと山下君を感じたい──感じていたい……。


「アッアッアッ──アァッ! や、らめ……らめっ、またイ……イっちゃ……イッちゃうよおぅ……!」


 山下君……好き……大好きです……。


 ──目を覚ますと、山下君の姿はなかった。
 教室に戻ってみれば、用事ができたと言って早退したとのこと。


 まるで、避けられているみたいだ……。


 もちろん、たった1回きりで避けられているなんて考えすぎかもしれない。
 それでも……不安だった。


「ひっく……」


 放課後になって、また屋上に来てしまった私。
 そして、後ろには何も言わないで立っている芦屋君がいた……。


「奏ちゃん……?」


 どれくらい泣いていたか、芦屋君がよつやく声をかける。


「どうしたわけ?」

「山下君は……私のこと、嫌いなのかな……?」

「え?」


 一定の距離を保って、芦屋君は隣に腰を下ろす。


「何で……そう思うわけ?」

「分かんない……けど……」

「そっか。俺は残念ながら、山下じゃないから判んないよ」

「そうですよね……ごめんなさい……」

「でもさ、だからこそ告白したほうがいいんじゃない?」


 ………………。


「嫌いかどうか聞けばいいじゃん。好きだって言えばいいじゃん。──でさ、ダメだったら俺と付き合ってよ。ね?」

「それはいやです……」

「えっ……!」

「だって私、好きなんだもん……」

「そっか……。ははっ、フラれちゃった……。判った。じゃ、また友達からよろしくね!」

「それもいやです……」

「ガーン……!」

「──ふふっ……冗談です。よろしくお願いします」


 顔を上げ、沈みかける夕陽に笑った。


「ありがとう……芦屋君」

「ははっ、どういたしまして。やっぱ、奏ちゃんは笑ってたほうが可愛いよ」

「さらっと口説かないでください」


 どうして避けられているのか分からないけど……がんばってみよう。

To be continued...
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