07罪と恐れ
「やっ、やめなさい!」
「センセー、そんなに騒がないでよ。人が来ちゃうっしょ?」
「俺たち、可愛い生徒だろ? そんな俺たちが退学にでもなったら、どうする気なん?」
「そんなこと、知らない! あなたたちが勝手にしたことでしょ、あなたたちはちゃんと罰を受けなさい」
「先生ってば冷たいんだね〜?」
1人は私の体に馬乗りになって、残りの4人がそれぞれ両方の手と足を掴んで私が暴れないようにと押さえつける。
抵抗はした。
しかし、歯が立たないのは自明の理だ……。
「やめっ、なさい!」
「やめてあげなーい」
覆い被さる男子生徒は私の服を外へ引っ張って、ビリビリと布やボタンの糸もろとも取れていく音が無機質な部屋に残響する。
「い、いやぁ……っ!」
引き裂かれた服は床に置かれ、哀れに上半身が曝される。
男の子たちは感嘆の息を洩らして、だらしのない表情で私の体を見つめる。
「すっげ、下着エロいな、綾ちゃん」
「もしかして勝負下着とか?」
恥ずかしさや恐怖で震える。
こんなこと、凌君以外にしてほしくないのに。
どうして、どうして、こうなったの。
「お願い、あなたたち……今なら、見逃してあげるから。ね?」
「何言ってるんスか。今さら、引き下がれないッス」
「そうそう。こんなモノ見せつけられて、おちおち帰れるわけないじゃーん」
「いっそのこと、楽しみましょ?」
思春期のこの子たちは、性欲に従順。
だからこそ、犯罪になる前に防がなければならない。
甘いかもしれないが、それが教師の役目だというなら私は教師としての使命を果たさなければならないんだ。
「お願いよ……」
「だーめ」
男の子はキャミとブラと共に上に上げて、私の胸を乱暴に揉みしだく。
「い、やぁ……いやぁ!」
「センセーのおっぱい、柔らけー」
胸を揉む手には優しさや愛など皆無。
あるのは、相手がその先に望むたった一つの快楽。
相手はそれを真実だと疑わないが、深層にある真相にたどり着くことはきっとない。
加減なんて知らない子どもは、自分の欲のためにひたすらに私の胸に容赦なく痛みを与えるんだ。
お願い、誰か来てよ……。
怖い、こわい、コワイ……。
恐怖が脳にまで伝達されたとき、私はとうとう拒否する声さえも発せずに苦痛に耐え凌ぐ。
「あれー? 先生、静かになっちゃったね?」
「AVみたいにアンアン喘いだりしないのな。つまんねー」
当たり前だ、二次元と三次元を一緒にしないでほしい。
あっちは演出で声を出してるだけで、実際にされれば怖くて何もできない。
だから、無力なんだ……。