13いざ、男となれ。

 こちらをまっすぐに見る先生だが、その眼にはどこか怯えている様子を感じる。


 普通だったら、ここで謝るべきだ。
 でも、なぜだか赤城先生を見ていたら、ムラムラしてきた。
 それに今だったら、何とか理由をつけて彼女に触れることができる。
 今がチャンス──。


「1週間前、先生がここでオナってるの見ちゃったんですよ」


 ほぼ、開き直りだった。
 しかし、先生は呆れるどころか、眼を見張った。


「成瀬君……?」

「先生。この動画、流されたくないですよね?」

「えっ……?」


 赤城先生ににじり寄る。
 先生は俺の行動に反して、後退する。


 今の俺は、赤城先生の眼にどう映っているのか。
 恐怖?
 ただの生徒?
 普通の男?


 そんなのはどうだっていいんだ。
 今は、先生に触れたくて仕方がない……。


「あっ」


 先生は後ろにあるベッドの存在を忘れていたみたいで、驚きの声を発しながら純白の布団に倒れ込む。
 だがそれでも先生は逃げようとして、ベッドの上に登る。
 そのあとに続く俺に、赤城先生が嫌々と頭を左右に振る。
 そのときの怯えた表情がどうしようもなく、たまらなかった。
 おかげで、俺って意外とSっ気があるんだなと、自分を再発見することができた。


 後ずさった先には壁があることに気づき、逃げ場がないと悟ったのか、先生は薄く唇を開いた。


「お、お願い。やめて、成瀬君。こんなの、ダメ……」

「ダメ? どうせ、いつもオナってるんだから、ホントは期待してるんじゃないんですか?」

「ち、違う……」


 否定はしているものの、頬がわずかに紅潮している。
 どうやら、図星みたいだ。


 俺はぐっと距離を縮め、赤城先生を見つめる。
 多少大きな黒目がちな茶色い瞳、マスカラのおかげで長いまつげ、鼻筋がぼんやりと見える少し高い鼻、桜よりは濃いピンクの唇が俺を誘うように光っている。


「先生……」

「んっ!?」


 吸い込まれるように、唇を重ねた。
 赤城先生は顔を逸らして拒否するが、容赦なく自分の唇を押し当てる。


 もちろん、俺にとって初めてのキスだった。
 まさか大人の、さらには教師の唇ですることになるなんて、夢にも思わない。


「ん……んんっ」


 顔を慌ただしく動かして、まだ抵抗する先生。
 仕方なく赤城先生の顔を手で押さえ、ある準備のために一旦、唇を離してから一つ呼吸すると、再び口づける。


 固定しているため、大分動きが落ち着いた彼女に、準備をしていた舌を差し込む。


「ん!? ぃやあ……」


 もちろん相手は固くガードしてくる。
 想定の反応だから慌てることなく、先生の力を緩めるために唇を舐める。
 時折、チュッと吸い付いてみると、赤城先生がぴくんと震えた。
 ほぼAVの見よう見まねだが、ある程度は様になっているんだろうか


 そんな相手の反応を見て、多少の自信がつく。

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