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くそったれ、くそったれ、泣けねぇよ
三国←南沢
迷いや躊躇いなんてなかった。
大好きなサッカーを大好きでいる為に。好きなものを好きでいる為に。オレは自分の意志でサッカー部を辞めるのだから。
………
「南沢」
部室の荷物を片付けていると、突然背後から名を呼ばれた。
「俺は最後までお前とピッチに立っていたい」
三国か、と心の中で呟く。振り向かなくても誰かがすぐにわかってしまった自分が、なんだかひどく呪わしい。
「相変わらず真っ直ぐだな、お前は」
褒めたつもりなのに何故か嫌みのように聞こえてしまうのは、真っ直ぐなコイツと違ってオレの性格が曲がっているからだろう。
「その気持ちだけもらっておくよ」
片付けの手を止めずに、振り向きもせずに。少ない荷物をどんどん鞄の奥へ入れていく。
「ユニフォームは近い内に返しに来るよ、…!」
荷物を纏め終え、じゃあなと短く告げて部室を去ろうとしたのに。すれ違い様にアイツの大きな手で腕を捕まえられて動きが止まる。
なんだよとそのままの状態で不機嫌そうに呟きつつも、内心では三国の行動が嬉しかっただなんて。あぁ自分も監督や1年とは違う意味で馬鹿かもしれないと、掴まれた箇所から伝わる熱を感じながらぼんやり考えた。
「…離せよ」
どれくらいの間そうしていただろう。10分…いや1分だったかもしれない。やっとの思いでそれだけ言って、形だけのささやかな抵抗を試みる。もちろん、そんな程度の、ましてや形だけの抵抗で三国を振り払える訳はないのだけれど。
「ずっと――」
オレの抵抗が完全な拒絶でないと気づいたのだろうか。三国は腕を掴む力を緩めてぽつりと呟いた。
「今までずっと、1年の時から一緒にやってきた大切な仲間が去ると言っているのに、簡単に離す訳ないだろう…!」
「…!」
そう言った三国の言葉が、頭から爪先までドスンと落ちて。一瞬、思考も視界も動きも、何もかもが奪われた。
「監督や天馬たちとならきっと」
(オレは、一体)
「今の管理サッカーを変えられる」
(何を、期待していたのだろうか)
「そしたら、卒業する前にお前とまた本当のサッカーが出来るんだ!!」
(こいつにとって、オレは)
「だから――ッ、」
――本当は、ずっと前から気づいていた。だからこそ気づかないフリをしてきたし、確信に触れるのを避け続けてきた。(だってそのままでも十分幸せだったから)
けれど改めて現実を思い知ったオレは、真っ直ぐに【仲間】として引き止める三国の腕を、声を、振り切るように駆け出した。
《くそったれ、くそったれ、泣けねぇよ》
(あたたかく甘い残酷な)(君のてのひらが優しすぎたから)
Fin.
こんにちは。水恋です^^*
横恋慕さんに参加させて頂きました。素敵な企画をありがとうございます!
三南…マイナーなのでしょうか… 個人的にはとても美味しいと思うのですが…mgmg
未熟な文ではありますが、私の文で少しでも三南好きさんが補給して頂けたら嬉しいです。
そして眠れる三南好きさんが目覚めることを願っています。三南愛してる!
20110923 Avec toi/水玉水恋
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