隊士の皆さんにご挨拶





…ってちょっと待って。女人禁制?どういうことだと思って皆さんを見回す。近藤さんがあー…と間を置いた後に、土方さんが桜は例外だと告げる。


「浪士5人を伸すくらいだ、コイツは戦力になる。実力なら完治してから確かめりゃいい。それに家事のできる人間が欲しかったのも事実だろ」

「ムサい男の作ったムサい飯食うのも飽き飽きだろう?桜ちゃんは男所帯でも働いてくれるって言うんだ。万々歳じゃないか!」

「確かにムサい飯食うのも飽きてきたし、ありがてェや。戦えるんなら、また手合わせ願いたいですねィ」


ムサい飯ムサい飯って…いやまぁ寝たきりの間食べてたご飯、どことなくムサかったけど。あれ誰が作ってたんだろうなー……。おいしかったよ?でもムサかったんです。
それにしても、手合わせかぁ。


「あたし刀は扱えないので素手になりますけど、それでも良ければ」

「「……………は?」」

「おお、そう言えば桜ちゃんは格闘技が得意なんだったな。刀は持ったことないのかい?」

「そうですね。剣道は軽くかじったことがある程度なので、竹刀しか持ったことないです」

「ちょっと待て。ってことは獲物持ってる浪士5人を丸腰で伸したってことか?」

「?そうですけど…」


ありえない、といった表情をする土方さん。無手とは言え一応武器を持った相手を想定した動きとかも格闘技には存在するのだから、伸したって不思議はないはずだ。

このご時世に無手なんて珍しいですねィ、と怪訝な顔をしたのは沖田さん。分からなくもない。江戸時代に格闘技だなんて、珍しいにも程がある。


怪訝な顔をされつつもここに至るまでの事情(嘘)を説明し、たまに土方さんや近藤さんに口を出されつつ話しきった。格闘技をやってた理由は2人に前話した嘘に加え、一人暮らしで野生の動物に入り込まれても身を守れるようにするために…というのも加えといた。
元々護身の為に習い始めたってのが本当だし。それからハマってここまで続けたってだけなんだよね。


「ふーん、苦労してきたんですねィ」

「まぁ、大したことないかもですが…」

「俺には関係ねェけど」

「そうですね」


関係ないのは事実だし沖田さんは何も間違ってない。なのにイラっとした。何でだ。
若干引きつってしまったあたしの表情に気付いているのかいないのか、近藤さんは笑顔で関係なくないぞと言って豪快に笑った。


「どーゆうことですかィ、近藤さん」

「どういうことも何も、桜ちゃんは実力次第では一番隊に配属だからな」

「はあ!?」


一番隊に配属=目の間にいるイケメンさんの部下という公式が瞬時に立てられた。え、なんか微妙な心境。どうせなら土方さんの部下がいい。ってどっちみちそうだ…。


「実力を見るための手合わせの相手は俺か総悟だが…どっちにす」

「土方さんでお願いします」

「お…おお」


女の勘なのか何となく分かってしまった。ここの沖田さん中々にいい性格してる。だって土方さんが俺か総悟だって言った瞬間ニヤってしたもん。あれはいたぶる人の顔だ。
流石に完治直後にフルボッコにはされたくない。


「で?医者はいつ完治するって言ってたんだ?」

「来週には傷も殆ど目立たなくなるそうです。今でも開く心配はないそうなんですが…」

「激しい運動は禁止です!」

「…とのことです」


苦笑しながら土方さんと沖田さんを見ると、2人共呆れたような表情を浮かべていた。無理もない、上司がこれだけ過保護な人だったら色々と苦労も多いんだろうな。

まだ見て回っていない所や会っていない幹部さんがいるため、土方さんと沖田さんに会釈をしてその場を後にする。
なんか…全体的にキャラ濃いなぁ、この屯所…。




隊士の皆さんにご挨拶

そう言えば、沖田さんに挨拶してる時どこからかフンフンって声聞こえた気がしたんだけど…まあいっか、気のせいだよね。





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