prologue(1/2)
「「お疲れ様でしたー!」」
「おー、お疲れー」
楽器の片付けがやっと終わって鞄の整理をしていると聞こえてきた、女子にしては低めの聞き慣れた声。
慌てて扉の方を振り向くと、幼馴染が後輩達に手を振り、リュックを背負い楽器を肩に掛けて音楽室を後にするのが見えた。
「待って花梨ー!」
少し大きめな声で呼び止めると、足を止め身体ごと振り向いてくれた。急いで荷物を詰めて駆け寄ると、思わずといった感じで苦笑を浮かべた。
「わざわざ追いかけてこなくてもどーせ校門とこで待ってんのに…」
「花梨、いっつも待ってくれてるから…なんか申し訳なくて」
「百合の事待たなくてもどっちみち竜牙待つじゃん」
「それでも!」
ムキになって言い返すと、ケタケタ笑いながら歩いて行ってしまう。その後を小走りで追いかけ、部活の話をしながら2人で歩く。
校門に到着して待ってると、もう1人の幼馴染、竜牙がのんびり歩いて来た。
「おーい、おせーし竜牙!」
「おー、悪い悪い」
「全く悪びれてないだろ!」
「いや、心から謝罪してるぜ?」
「胡散臭……」
「ごめん竜牙、私も同感…」
「ひでぇお前ら!」
こんなやり取りをするのも何回目かなぁ?いつものように3人で笑いながら帰路を行き、いつもと同じタイミングでお決まりの話題になる。
「あ、そーいや花梨、アレどこまでいったよ?」
「TOG?系譜編のラスボス目前」
「はぁ!?早っ!!俺やっとラスダンだぜ」
「2人とも早いねぇ。私まだラムダ倒したばっかりだよ」
「「いやそれは百合が遅い」」
「え………」
そう、珍しい事に私達3人は揃ってテイルズ好きなのです。新しいのが出ると一緒に買って、誰が1番早くクリアできるか勝負してるの。
私はいつものんびりプレイするから、勝つのは花梨か竜牙だけど。
「あーあ、今回は花梨の勝ちかよ」
「ふっふっふ。あたしは帰宅後メシそっちのけで倒すつもりー」
「こら!メシはちゃんと食え!」
「そうだよ!身体壊しちゃう」
「あーはいはい。わかってるって」
こんな風なやり取りをしていると家に着いた。私達は家が隣同士だったりお向かいさんだったりしてるから、帰り道が一人なんて事にはならない。
また明日なー。うん、バイバイ。と手を振って自宅に入っていく。
2人共ご飯の前にやるみたい。私は…今日はいいかな。
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