あたたかな家(2/2)
ぴん、と伸ばしていた姿勢を少し緩め、私の分かる範囲でこれまでの経緯を話した。とは言っても、異世界から来たーだなんて突拍子もないことは言えない。少なくても、今はまだ信じてもらえるわけがないから。
そして、地面に突然空いた穴も、光──マナに包まれたということにしておいた。
「ってぇことはアレだな、幼馴染みと歩いてたら、急に強ぇマナに包まれて」
「こっちに飛ばされて、俺が見つけたってことなんだな」
「まぁ、ざっくり言うなら…そうです」
人を疑うってことをしないんだろうか、この2人は。
異世界というワードを出さなくてもこんな突飛な話、あっさり納得してもらえるなんて思いもしかなった。
「ロイド、おめぇ事情聞いてなかったのか?」
「帰れないってことしか聞いてなかったんだ」
「すみません、あの時は私も混乱してて…」
2人の言葉で、あの時保健室にいた人達には、まともに説明もできていなかったことに気付いた。私、ものすごい不審者だったんじゃないだろうか。不安になってきた。
「嬢ちゃんの事情は分かった。そう言うことなら、この家にいな!」
「…い、いい、んです…か?」
「あたぼうよ!ドワーフの誓い第2条」
「困っている人を見かけたら、必ず力を貸そう!だもんな!」
「そう言うこった。遠慮はいらねぇぜ、ユリ嬢ちゃん」
「…ありがとう、ございます」
そう言ってくれたロイドとダイクさんは笑顔で、それがとても暖かくて、悲しいわけじゃないのに泣きそうになった。じわりと滲む視界をぐっと堪えて、私も笑った。
「これから、しばらくお世話になります」
少し声が震えてしまった。それに気づいているのか分からないけれど、ロイドが頭をくしゃっと撫でてくれた。
そして、飯にするか、というダイクさんの言葉に頷いた。
あたたかな家
テーブルに並べられた料理はどれも優しい味
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