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入ってきたのは銀髪の利発そうな男の子と、金髪の可愛らしい女の子。
銀髪くんは茶髪くんに(名前分からない)呆れた目を向けて溜息をついている。金髪の子の問いかけにぎこちなく頷くとふんわりとした笑顔を向けてくれた。

…あれ?ちょっと待って、"ロイド"?銀髪くん…今ロイドって言った?
確かに外見がよく似ている気がする。それに、もし私の知るロイドじゃなかったとしても、横文字ってことはここは外国?でもこの人たち流暢な日本語話してるし…。

でも、やっぱり見覚えがある気がする、3人とも。


「貴方達、ここは騒いで良い場所ではありません。そんなに騒ぎたいなら他の場所でなさい」


でもそんなことありえないし、と首を捻っていると落ち着いた声が聞こえた。声のした方向を向くと、開けっ放しになっていた扉の所に銀髪の女性が立っていた。
わー…すごい美人さんだな…。

その人は私をみるとゆるりと口角をあげた。
……なんか、ここの人たち…皆笑顔が素敵すぎるのですが。


「あら、起きていたのね。体の調子はどうかしら?」

「あ…大丈夫、です」


小声で答えてから、思わず見とれてしまっていた恥ずかしさで少し俯く。女性のものと思われる安堵の溜息が聞こえてきて顔をあげると、思いの外近くにその綺麗な顔があって仰け反ってしまった。
暫くじっと見つめられてから離れる美人さん。
…美形は心臓に悪いです。


「顔色も良くなっているし…もう安心ね。私はリフィル・セイジ、この村で教師をしているの。この子達は私の教え子よ。ところで貴方達、きちんと名乗ったのかしら?」


美人さん…もといリフィルさんが差し出す手を握り返すと、後ろの3人がそろってあ、と言って口を開けた。
…リフィルさんが完全に呆れている…。


「わ、悪い…びっくりして当然だよな。俺はロイド・アーヴィング!」

「僕はジーニアス・セイジ!びっくりさせちゃってごめんね」

「私はコレット。コレット・ブルーネルだよ」


にこりとわらって自己紹介してくれた3人。そんな彼らとは対照的に、私はまたビシッと固まる。
聞き覚えがありすぎる名前なんだけどどうしよう…。シンフォニアのイセリア組で間違いはないらしい。勘が当たっちゃうなんて…え、ってことは私、世界規模で移動しちゃったの?
いや、大好きなゲームだけど…。

考え込んでしまっていたらしい。ロイド…君が顔を覗き込んできた。


「あのさ、お前名前は?」

「藤野…じゃなくて!えっと……百合、です」

「ユリか、よろしくな!」


咄嗟だったからどう名乗ればいいのか分からなかったけど、よく考えたら漢字の名前ありなんだっけ…。
ま、まぁ…いっか!

3人とも順番に握手したところで事情を聞いた。ちなみに呼び捨てでいいらしい。
ロイドに運んでもらったと聞いたときはもう、顔から火が出るかと思った。体重ばれた、重かったよね…!
リフィルさんに当てがあるのか聞かれた時には返答に困った。

そうだ、行く当て無いんだった…!!しかも異世界から来たなんて言えないし、どうしよう……。
とりあえず故郷に帰る方法が分からないことを伝えると、ロイドがリフィルさんを見ながら口を開いた。


「……先生。俺達の中で誰かの家に居候って訳にはいかねーかな?」

「私はいいと思うけれど…それは彼女次第ね。ユリ、どうかしら?」

「願ってもないお話ですけど…これ以上ご迷惑をお掛けするわけにもいきませんよ」

「そんなの気にすんなって!なぁ皆?」

「うん!私、お父様とおばあ様に聞いてくるね!」


苦笑しながら遠慮するも、元気良く保健室を飛び出すコレット。途中で派手にこけるたような音が聞こえたような気がするけど…気のせい、だよね…?
ロイドの顔が若干引きつっていた。


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