prologue(2/2)




「百合〜!牛乳切らしちゃったの、ちょっとコンビニ行って来てー!!」

「はーい!」



部屋で予習をしていると聞こえてきたお母さんの声。うちは喫茶店だから牛乳が切れると大変だ。



「はい、3本買って来て」

「3本でいいの?」

「とりあえずはね」



お母さんからお金を受け取り家を出ると、玄関を出た所に竜牙が立っていた。どうしたのか聞いたら、



「おばさんに付き添い頼まれた」

「えっ…一人で大丈夫なのに」

「ま、いいんじゃね?小腹空いたし、俺も何か買うわ」



ほら行くぞ、と言ってさっさと歩いて行く竜牙を追ってコンビニへ向かう。


〜〜♪〜〜♪〜


ちょうど家とコンビニの中間辺りにある神社の前へ来た時、私と竜牙のケータイが同時に鳴った。
えっと……花梨から?



『今クリア!あたしの勝ち〜』


書かれている文章はそれだけ。隣で携帯を弄っている竜牙の反応を見ていると、どうやら一斉送信らしい。


『え、もう?流石、早いね花梨。私もこれから進めるよー』


幼馴染の楽しそうな様子が文面から伝わってくる。帰ったらやろっかな、と思いながら返信をする。



「あ゙ー…っ負けたかー。クソッ、次こそ勝つ!!」

「今竜牙と花梨が引き分けだっけ。でも次の勝負の前にクリアしちゃわないとね」

「……俺はそのうち終わっけどさ、問題はお前だぞ」

「……そだね」



あはは…と渇いた笑みを浮かべると、笑ってごまかすなって言いながら額を小突かれた。



――――キィン――



反撃しようとデコピンの構えを取った瞬間、頭に響く金属同士がぶつかるのに似た音。聞こえたのは私だけじゃないみたいで、目の前にいる人物も首を傾げている。



「なぁ、何だったんだ?今の」

「私にも分からないけど、確かこの神社―――っ!?」

「…ッ、穴!!?」



確かこの神社、何か言い伝えがあったような気がする。そう言い切る前に感じた、ふっと体が浮く感覚。


足元を見るも――地面が無かった



「…っきゃあぁぁあぁあぁ!!!」

「――――ッ!!」



闇の中へ吸い込まれる様に墜ちて行く。

頭上に光が見えなくなったと同時に、私は意識を手放した。


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