ちっちゃくなっちゃった[2/3]
納得したその刹那、断続的な地響きがした。え、何何どうしたの何が来たんだよ、象ですらもっと静かに歩くよホントに何なんだよ…!
恐る恐るそっちを見ると巨大なカメ。背中になんか乗ってますね何だコレっつーか見たことある亀車だよね。
さすがにこれはコスプレどうのって言ってられないぞ。ロボット製作会社が作ったっていう考え方も無理がある。こんなの作ってるほど暇じゃないだろうし。
ということは、ここ、マジでエフィネアなのかもしれない。
「お嬢ちゃん位小さい子で旅してる人って珍しいっす。いくつっすか?」
とりあえず今どの辺にいるかが分からないから、周辺の街まで連れてってもらおう。気候的にウィンドルだってことはわかるし、何か見覚えあるけど…がむしゃらに彷徨って行き倒れとかやだし。
って思ってたら先を越されてしまった。旅人と認識されたらしい。つか小さい子?あたし、一応花も恥じらう16歳(笑)だよ失礼じゃない?確かに日本人は童顔だけどさぁ…
「そんなに小さくないよ。いくつに見える?」
「10歳前後っす」
は?いくらなんでもそれはないっしょ〜。女子の中でも身長は高いほうだし、そこまで幼く見えはしないと思うんだけどなぁ…?
色々通り越して腹立ってきた。拳に力をいれつつふと視線を落とすと、川に写った自分の顔が見える。水面越しにこんにちはしたのはぶっかぶかのパーカー着た黒髪の小学生。
「…………うそん」
改めて自分の体を見ると完璧なまでの幼児体型、身長も縮んでる。そりゃ小さい子って言われる訳だ。うん納得……できるかァ!!!
…とりあえず近くの町行こう。このまま此処にいて魔物来て襲われたらやだし。元のサイズならともかく、このちっさい体で魔物の攻撃喰らったらひとたまりもない。
「どうかしたんすか?」
あぁそっか、いたんだっけかめにん。そうだよ道聞こうとしてたんだった。頼むからグレルサイドの近くとかやめてよー…
「なぁ、かめにん」
「ナチュラルに呼び捨てっすか。何っすか?」
「ここどこか分かんないから近くの町までの道教えろ。むしろ連れてけ」
「迷子だったんすね。そして態度でかいな」
おやおや、口癖はどうしたんだい?態度の悪い子どもを乗せる亀車はないっすと言う奴に、まぁそんな生臭そうなの乗らないけどって返したら睨まれた。おお怖っ。
「坂を登ってから右に行けばラントって町があるっす」
「お、ラントか!ありがとうかめにんさん」
「一気に態度変わったっすね…まあいいっす。じゃあ、僕は行くっす!魔物に気をつけるっすよ〜」
「おー!ありがとなー!」
頑張ってくださいっすという言葉と共に、貰ったグミを握りしめて手を振る。あんだけでかい態度とったのにグミくれるとか優しいなあいつ。今度会ったら敬語で話してやろう。
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