ナインと出逢ったのは《外局》でマザーが彼を連れて来た時でした。乱暴者でよく問題を起こしていましたけれど、決して嫌いにはなりません。
言葉は乱暴でも根は優しいことを知ってましたから――…



「…――で、急にそのようのことを聞いたのですか?レム」
「あー、その…クイーンとナインが仲良いなぁって思って」

此処は女子寮のキッチン。
彼女達の手元にはレシピとボールに入ったチョコレート。
今はレムとセブンが講師となり、バレンタインのチョコ菓子を製作中。

「そう、ですか。ナインは嫌いではないです。馬鹿な所もありますけれど…此処だけの話ですが、多分、わたくしはナインが好きなんでしょう」

ふわりと照れ臭そうに笑うクイーンに全員が手を止めた。

「「マジ!?」」
「あ〜ぁ、クイーンをナインに取られちゃったよ〜」
「これは応援しないとですね?」
「そうだな。…っと、ケイト。そろそろ焼き上がる」
「わ、わっ。に、しても意外だったなぁ」

セブンに促され、オーブンから焼き上がった焼き菓子を出しながらケイトは呟いた。

「何がです?」
「んー、クイーンってもうちょい自分の気持ちに鈍い気がしてたから」
「それは…そうですね、わたくしもそう思います」

図星をさされたものの事実には変わりなく、クイーンは困ったような顔をした。

「あ、わたし良いこと思いついちゃったぁ」

はいはーいと手を挙げるシンク。振り上げたゴムべらにチョコレートが付いていることをすっかり忘れてたようで隣で作業をしかめっ面でしていたサイスの顔にかかる。

「シ・ン・ク〜っ、少しは周りを見ろよっ。あたしの顔に掛かったろうが?」
「あ、ゴメンゴメン〜」
「"良いこと"って?シンク」

話が逸れたのをレムが修正する。

「ん、皆さぁ〜好きな人いるんだよね〜?だったら作ったお菓子持って好きな人に告白しちゃえば?」

シンクの提案に動揺したのはクイーンとサイスとケイトだった。
一気に騒がしくなるが…

「あぁ、良いかもしれないな」
「そうですね、日頃の感謝とかも兼ねて。わたし、出来たんでエースの所に行ってきますね」

一番早く行動を起こしたのは意外にもデュースであった。

「デュ、デュースって…エースが好きだったんだな…」
「ま、分からなくもねぇな。あたしもとっとと作っちまおう」
「そうだね」

デュースを見送ると各々、作業を再開させる。

「あ、あのセブン。あとでナインの所に行くまで付き合ってもらえますか?」
「あぁ、いいよ」

彼女達のValentineはこれから始まる。
だが、暖かく見守る視線が2つほどあったことは知らない――…

Celebrate Valentine




(平和ね…)
(はぁ、確かに微笑ましくはありますが)








※アトガキ※

今回、snow flower様の企画に参加させていただき、駄文とはなりますが本稿を提出しました。
バレンタイン時期の0組女子がこんな風に会話してたら良いなぁ。
とにもかくにも読んでいただきありがとうございました〜


京哉


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