花のかおり
「女の子ってなんか香水かなんかつけてるのかな〜」
夕食後の男子寮のサロン。
ご都合よく僕達、0組の男子しかいない。
それぞれ思い思いに食休みをしていた。
「…さぁ、な。突然どうしたんだ?そんなこと聞いて」
僕は読んでいた本を閉じ、眼鏡を外してジャックを見やる。
勿論、他のメンバーの視線もジャックに注がれている。
「ん〜、最近…女の子が横通るとそれぞれ違うけどいい匂いがするんだよ〜」
「へー…あー、そういえばレムが言ってたな。女子の間で好きな花の香りの香水をつけるのがブームとか」
空になったマグカップをテーブルに置きながら思い出したようにマキナがいう。
「だからか。やたらエミナ武官の所に行ってくるとか昼に抜けてくのがいたのは」
「だからってきっつい匂いは勘弁だぜオイ」
「確かに。でも軽いのは好きかな」
次々と意見を述べてくメンバーに僕はふと思い出したことを口にした。
「そういえば…彼女達の香水は花が原料とかデュースが言ってた。で、それぞれ好きな"花言葉"から選んでるらしい」
「あぁ、それなら私も聞きましたよ。ケイトから」
トレイも思い出したように笑う。
「花言葉だぁ?何だ、そりゃ」
「花言葉はですね――…」
「長くなるから簡潔にしてくれ」
分かってないナインに説明する直前にマキナが念押しする。トレイの話しは長くなるし、ややこしいのでマキナの言葉はありがたい。
「…分かりました。花言葉というのはですね…草花に当て嵌められた合言葉みたいなものですよ」
「へぇ〜、セブンに聞いてみよっと」
「明日にしておけ。もう遅い」
キングに言われて時計を見やれば、消灯時間直前だ。
「僕は先に部屋に戻る。色々探るのは良いけど程々にしておけよ?ジャック」
「はぁ〜い。気をつけてね〜、おやすみ〜」
本と眼鏡を持って僕はサロンを後にした。
ジャックにはああ言ったが、その実…僕も気になっていた。
「デュースがつけてたのって何だったけ?確か…アイリスだっけ?」
悩みながら部屋へと戻った。
花のかおり
(デュースのつけてるのはアイリス?)
(はい、そうですよ?)
(花言葉…教えて)
fin
※アトガキ※
好きな子のことを知りたがる男の子目線で書いてみました。
ちなみにアイリスの花言葉は「優しい心、吉報」だそうで。デュースちゃんに合うだろうなと。
お読み頂きありがとうございました。