「サスケ君!私のチョコ受け取って」
「ずるい私が先よ」
「私が先に待ってたのよ!」
「…全部いらねぇ」
サスケは冷たくそう言い放つと、いつと以上に不機嫌な顔で待機所の扉を開いた。
「相変わらず冷たいねー、食べなくても貰ってあげればいいのに」
「食わずに捨てる方が残酷だろ」
サスケは可愛らしくラッピングされた箱をゴミ箱に放り投げるカカシに冷たい視線を送る。
今日はバレンタイン、待機所の前には意中の相手を待つ女子の群れが絶えない。
「(あいつも浮かれてんだろうな)」
サスケはきゃぴきゃぴとイタチへのチョコを抱えるゆなの姿を思い浮かべるが、当の本人はどこにも見当たらない。
「ゆなならいないよ」
カカシは伝書鳩の足に付いていたであろうゆなの直筆のメモをサスケに見せる。
「オレ宛てじゃねーか」
サスケはサスケ先輩へと書かれた紙を奪い取り目を通す。風邪を引いたと書かれた字は汚く、彼女の体調の悪さを伺える。
「ゆなってサスケのことうちは先輩って呼んでなかったっけ?」
ニヤニヤと顔を緩ませるカカシの指摘は鋭く、サスケは怪訝そうにカカシを見る。
「うちはが多くてややこしいんだよ」
「ふーん…お見舞い行ってやれば?一人暮らしみたいだし、ご飯とか食べてないんじゃない?」
「何でオレが」
「じゃあオレが行こっかなー」
「………」
****
『何でサスケ先輩が…』
扉を開けたゆなは今にも倒れそうな程弱々しく壁にもたれかかる。
「カカシが様子見て来いって」
『わざわざありがとうございます』
「飯食ってるか?」
『作る気力なくて…』
そこまで言うとゆなは崩れ落ちるように倒れ、その体をサスケが受け止める。
「すげー熱…」
サスケは意識の朦朧とするゆなを抱き抱え、部屋へと足を踏み入れた。
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