『舞の呼吸捌ノ型 瑠璃の踊り子』
山に潜んでいた最後の鬼の首を斬り、任務を終えた愛梨は刀に付いた鬼の血を振り払い鞘に収める。
しかし山を降り蝶屋敷へと帰ろうとした愛梨のもとへ、鎹鴉の桔梗が伝令を伝えに来る。
「南東ノ方角二複数ノ鬼アリ、隊士ガ一人応戦中」
『分かった、ありがとう』
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「きぶつじについて知っている事を話してもらう」
途端に鬼は震えて怯え出し
「鬼舞辻無惨について知っている事を話せ!!」
「い…言えない…」
鬼は先程までの凶暴ぶりが嘘の様にガタガタと震え出し、少年は匂いで鬼の恐怖心を感じ取る。鬼舞辻無惨という鬼は名前を聞いただけで鬼をも震え上がらせる存在なのかと少年は息を呑む。
「言えない…言えないんだよぉおお!!」
鬼は恐怖を払拭するかのように斬られた両腕を生やして立ち上がり、がむしゃらに少年に襲い掛かる。
しかし鬼と少年の間に愛梨が素早く入り込み、一瞬にして鬼の頸を切り落とす。
「(速い!それに目の前に来るまで気配に気付けなかった)」
『どうしてすぐに頸を切らないの?』
「すみません…」
『鬼は鬼舞辻の情報を決して話さない。何を聞いても無駄だよ』
愛梨が振り返り少年に問い掛けたその時、彼の背後にいる少女の鬼が視界入る。鬼特有の気配が薄くすぐに気付けなかったが、間違いなく鬼である少女を捉え再び刀を強く握る。
『鬼…』
「待って下さい!!」
『!』
少年は刀を握る愛梨の手を強く押さえ、愛梨は驚いたように少年の顔を見る。
隊服を身につけ日輪刀を所持する少年は間違いなく鬼殺隊の隊士。愛梨はなぜ少年が鬼を斬ろうとする自分を止めるのか理解出来ずにいる。
「お願いします、刀を下ろして下さい!」
『えっ』
「禰豆子は俺の妹なんです!」
少年が妹だと言う少女の気配は確かに鬼だが、彼女は不思議そうにこちらを見つめるだけで襲って来る気配はない。
『…話を聞いてもいい?』
愛梨は少年に握られた手の力を緩めると刀を鞘に納め、少年の話を聞く事にした。
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