「だーかーらぁ!俺らのところに鬼がいんだよ!こーいうのが!」
『大きい声出さないでよ』
定期連絡のため屋根の上で天元と善逸を待つ愛梨、伊之助、炭治郎の3人。
愛梨は隣に座る伊之助の声の大きさにキーンとした耳を手で塞ぐ。
天元の薬のおかげで上手く接客を交わしている愛梨だが、こんなやり方をいつまでも続ける訳にもいかず、早く調査を終わらせたいのは愛梨も同じ気持ちだ。
「お前も気配感じでんだろ!?」
『感じてはいるけど…』
昨日、まきをが療養しているという部屋に入った愛梨と伊之助。しかし部屋の中にまきをの姿はなく、鬼のようなうごめく気配を感じたものの見失った。
『もしあれが鬼だとしたら、なかなか手強い相手だと思う』
愛梨の言葉に、先程までのわちゃわちゃした空気は消え去り炭治郎と伊之助に緊張が走る。
『ていうか善逸君は?宇髄さん会いました?』
「!」
「(コイツ、いつからいた!?)」
音もなく屋根の上に腰掛けていた天元の姿に、炭治郎と伊之助は気配を感じなかったと格の違いを痛感する。
「善逸なら来ない。昨夜から行方知れずだ」
こちらに背を向けたまま、暗い声で話す天元に愛梨達は先程までの騒がしさを捨て大人しくなる。
「お前らには悪いことをしたと思ってる。もうここから出ろ、階級が低すぎる。鬼が上弦だった場合対処出来ない」
「でも…」
「恥じるな。生きてる奴が勝ちなんだ」
杏寿郎の死を目撃した愛梨達に、天元の言葉が響く。柱ほどの強さを持っていても、死んでしまえばもう剣を振ることは出来ない。
「愛梨、こいつら連れて帰ってくれ」
『ちょっと待っ…』
天元は振り返ることなく姿を消し、残された愛梨は炭治郎達を見る。
『どうする?…って、聞くまでもないか』
「残るに決まってんだろ!」
2人の目を見た愛梨は萩本屋の気配の正体を探ろうと伊之助に言い、炭治郎に別れを告げた。
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