猗窩座の腕に体を貫かれた杏寿郎。しかしその闘志はまだ消えておらず、振り上げた腕で猗窩座の頸に刃を食い込ませる。
「(この男、まだ刀を振るのか!)」
「オオオオオオ!!」
ミシミシと骨の軋む音が鳴り、杏寿郎の刀が猗窩座の頸に食い込む。猗窩座は何とか杏寿郎から距離を取ろうと殴りかかるも受け止められ、愛梨はこの機を逃すまいと地面を蹴る。
『舞の呼吸漆ノ型 月光朱花』
愛梨は最速の技で猗窩座の頸を狙いに行き、杏寿郎の刀が食い込む頸の反対側から刀を食い込ませる。
今ここで猗窩座の頸を落とさなければ次のチャンスはない。愛梨は杏寿郎が作り出した好機を逃すまいと刀に力を込める。
『(頸が硬い!刀がほとんど入っていかない…)』
「(まずい!早くこいつらを殺さなければ)」
「オオオオオオ!!」
「ああああああ!!」
夜明けが近付き山のふもとから太陽の光が差し込み始める。杏寿郎と愛梨は猗窩座を逃すまいと渾身の力を刀に込めるが、猗窩座は自らの腕を引きちぎり愛梨の体を蹴り飛ばすと陽の光から逃れようと走り出す。
『ぐ…っ』
汽車の車体に体を打ち付けた愛梨は蹴られた拍子に肋骨を折られ地面に手をつく。
炭治郎は渾身の力で刀を投げるも猗窩座に避けられてしまい、その背中に向かって「逃げるな卑怯者」と大声で叫ぶ。
「お前なんかより煉獄さんの方がずっと凄いんだ!強いんだ!煉獄さんは負けてない!誰も死なせなかった!戦い抜いた!守り抜いた!!お前の負けだ!!煉獄さんの勝ちだ!!」
炭治郎は涙を流し必死に叫ぶが、体が思うように動かず猗窩座を逃してしまう。
怒りをぶつける事が出来ず膝から崩れ落ちる炭治郎に、杏寿郎はそんなに叫ぶと傷に響くと優しく声を掛ける。
「竈門少年が死んでしまったら、俺の負けになってしまうぞ」
杏寿郎は少し話をしようと炭治郎を側に呼び、煉獄家にある歴代の炎柱達が残した手記を読めばヒノカミ神楽について何か分かることがあるかもしれないと言う。
「煉獄さん、もういいですから。呼吸で止血してください」
炭治郎の言葉に杏寿郎は止血したところで手遅れだと言い、話せるうちに言葉を遺したいと言った。
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