「言われたとおり、切符を切って眠らせました。どうか早く私も眠らせて下さい。死んだ妻と娘に会わせて下さい」




愛梨達を眠らせた顔色の悪い車掌は、泣きながら手首か下しかない下弦の鬼に土下座をして懇願する。




「いいとも、家族に会える良い夢を」




下弦の鬼は車掌を眠らせると手下であろう人間達に向き直り、鬼狩り達の体を縄で縛りその夢の中にはいるよう指示を出す。




「もうすこし居たら眠りが深くなる。勘のいい鬼狩りは殺気や鬼の気配で目を覚ます時がある。近づいて縄を繋ぐ時も体に触らないよう気をつけること」




鬼の本体は先頭車両の上に立っており、しばらくその車両上から動けないと言う。




「準備が整うまで頑張ってね…幸せな夢を見るために」




目の下にクマを濃く作った人々は、下弦の鬼… 魘夢の言葉に力強く頷くと縄を持って愛梨達の下へと向かった。




「どんなに強い鬼狩りだって、人間の原動力は心だ精神だ。精神の核を破壊すればいいんだよ、そうすれば生きる屍だ。人間の心なんて硝子細工みたいに脆くて弱いんだから」





……ーーー




「縄で繋ぐのは腕ですか?」


「そう、注意された事を忘れないで」




魘夢の手下達は体に触れないよう気をつけながら愛梨達の手首に縄を結び、自分達の手首にも同じように縄を結ぶ。




「(大きくゆっくり呼吸をする、数を数えながら…そうすれば眠りに落ちる)」




彼らの目的は眠っている愛梨達の夢に入り込み、精神の核を壊すこと。そうすればどんな屈強な人間も二度と夢の中から目覚める事が出来ない。




「ねんねんころり、こんころり、息も忘れてこんころり、鬼が来ようとこんころり」




先頭車両の上に立つ魘夢は不気味な歌を歌うと怪しく笑った。






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