「栗栖と任務に行くのは初めてだな」


『不束者ですがよろしくお願いします』


「今回の任務では十二鬼月に遭遇するかもしれん。気を引き締めろ!」


『はい』




炎柱煉獄杏寿郎の任務に同行する事となった愛梨。愛梨はしのぶから杏寿郎は柱の中でも特に優れた剣の使い手だと聞いており、その技をこの目で見て学びたいと任務の依頼を引き受けた。




「任務の前にまずは腹ごしらえだ!」




杏寿郎は駅のホームで大量の弁当を購入すると愛梨と共に列車へと乗り込み、早速弁当を食べ始める。




「うまい!うまい!栗栖も食べるといい」


『あ、はい…』




席に座り弁当を受け取った愛梨は彼の隣の席に積み上げられた弁当の山を見て、本当にこれを全部食べるつもりなのかと呆気に取られる。




「栗栖は胡蝶カナエの継子だったな。今は継子ではないのか?」


『カナエさんが亡くなった際、しのぶさんには自分から教える事は無いと言われました』




鬼を狩る力は愛梨よりも柱であるしのぶの方が当然上だが、剣術だけで言えば実力は愛梨の方が上。更に鬼の頸を切れないしのぶの刀使いは独特であり、愛梨はしのぶから剣術を教わる事は出来ない。




『剣術以外にも学べる事はあるので、時折修行の相手はしてもらっています』


「そうか」




愛梨は食べ終えた弁当の蓋を閉めると両手を合わせ、ご馳走様でしたと小さく呟く。




「もういいのか?弁当はたくさんあるぞ」


『ありがとうございます、けどもう満腹です』


「そうか、しっかり食べないと体力が付かないぞ!」




杏寿郎は残っていた十個の弁当をペロリと平らげてしまい、愛梨は思わず目を丸くする。




「愛梨さん!」


『あれ、炭治郎君?』






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