トントントン




蝶屋敷の炊事場からリズムの良い包丁の音が聞こえる。

テキパキと夕食の準備を進めるアオイの背後に一人の少年が気配を消して近付き、調理台に並べられたオカズに手を伸ばす。




「あっ!また盗み食いして!」


「してねぇ!!」


「その手に持ってるニンジンは何よ!」


「(コイツ何ですぐに気付くんだ…もしかして強いのか?)」




伊之助は手に持ったニンジンを口に放り込むと、アオイに説教をされる前にとそそくさと炊事場を後にする。




『伊之助君、おはぎ食べる?』


「いいのか!?」


『うん、食べてもらえたら助かる』




慌てた様子で炊事場から出てくる姿を見ていた愛梨は、目を輝かせる伊之助を見ておはぎを片手にクスクスと笑う。

実弥のため日々おはぎ作りの特訓をしている愛梨は、自分一人で処理しきれないおはぎを入院中の隊士達によく配っているのだ。




「このおはぎ美味ェな!」


『でしょう?私料理出来ないけどおはぎだけは作れるの』




訓練を終えお腹を空かせていた伊之助は、縁側に腰掛けて愛梨の作ったおはぎを美味い美味いと口に放り込んでいく。




「おい伊之助!何一人で抜け駆けしてるんだよ!」




そこへ伊之助と同じく訓練を終えた善逸と炭治郎が合流し、愛梨は二人にもおはぎを食べないかと勧める。




「愛梨さんの手作り!?食べたいです!!」


「美味しそうですね、いただきます」




善逸と炭治郎も愛梨の隣に腰掛け、かまぼこ隊の三人は仲良くおはぎを頬張る。






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