炭治郎達が機能回復訓練を始めてひと月が経った。特に重傷だった善逸は一足遅れて訓練に参加したものの、1日で二人に追いつく回復ぶりを見せたと言う。




『炭治郎君達どう?』


「全然ダメ、善逸さんと伊之助さんは根性が無さすぎる」


『え?』




任務で数日屋敷を開けていた愛梨は、アオイに炭治郎達の機能回復訓練について話を聞く。

しかしアオイの課題をクリアした三人も継子のカナヲには全く歯が立たず、善逸と伊之助に至っては訓練にすら顔を出さなくなったと言う。




『そっか…』




先日隊士の教育について柱から説教を受けた愛梨は、下級隊士でありながら那田蜘蛛山で生き延びた三人に密かに期待を寄せていただけに肩を落とす。




『明日の訓練、私がやってもいい?』


「え?」





****




『という訳で、今日の機能回復訓練は私が担当します』


「よろしくお願いします!」




翌朝、愛梨は半ば強制的に三人を病室から連れ出したものの、アオイの言う通り善逸と伊之助からはすっかりやる気が削がれ覇気もない。




『やる事はいつもと同じ。だけど私一人で同時に三人の相手をする』


「けど、それじゃあ愛梨さんが圧倒的に不利なんじゃあ」


『うん、三人と湯呑みの薬湯をかけ合うのに私の手は二本しかないからね。けど私、君達には負けないと思うよ』




自信満々に自分達を見下す愛梨に善逸と伊之助の闘争心もくすぐられ、三人は気合の入った顔で愛梨の向かいに腰を掛けた。




「はじめ!」




バシャ バシャ バシャ




三人同時に相手をしているにも関わらず、愛梨はカナヲ以上のスピードで容赦なく三人の顔に薬湯を掛けていく。




「(愛梨さんの動きはカナヲより遥かに速い、けど三人同時なら必ず隙があるはず)
もう一度お願いします!」




その後何度やっても誰一人として愛梨に薬湯を掛ける事が出来ず、目に見えて炭治郎達の集中力が切れ始める。




『休憩しよう、三人とも疲れたでしょう?』


「勝ち逃げする気か!俺はまだまだやれるぞ!」


『けどスピードがどんどん落ちてるよ。自分の限界を見極めるのも修行のうち』




愛梨は三人に手拭いを渡して顔を拭かせると、気分転換に外へ出ようと提案した。






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