那田蜘蛛山での任務から一夜が明け、愛梨は村田と共に柱一同から名指しで呼び出された。恐らく…いや、間違いなくいい話ではないだろう。
「撤退前に栗栖の叫び声が聞こえたが、何かあったのか」
『冨岡さん、それだけは聞かないでください』
まず最初に現れた義勇から痛いところを突かれ、愛梨は村田の裸を見てしまったとは言えずに口を閉ざす。
『(不死川さんなら良かったのになぁ)』
いや、ダメだ。不死川さんの裸なんて見たら間違いなく鼻血を出して失神する。はだけた胸元だけでも直視出来ないのに。
そもそも不死川さんならあんなに弱い鬼に捕まるなんて失態は絶対に犯さない。
「何が俺なら良かったんだァ?」
『な、ななな何でもありません!(不死川さんの顔が近いっ!)』
突如現れた実弥に顔を覗き込まれ、愛梨は心の声が漏れてしまったと慌てて両手で口を塞ぐとその場に正座する。
そこからゾロゾロと柱の面々が集まり始め、正座をした愛梨と村田に緊張が走る。
「何故自分達が呼び出されたか、検討は付いているか」
『昨夜の任務の件でしょうか』
柱の迫力に今にも泣き出してしまいそうな村田とは正反対に、愛梨は凛とした声で質問に答える。
「初めに那田蜘蛛山へ向かった隊士の中で生き残ったのはたった一人。十二鬼月と遭遇した訳でもないのに何故そんな事が起きる」
「若き命が次々と失われていく、何とも悲しき事態」
「もっももも申し訳ありません!!」
村田は柱への恐怖心からか全ての問いに対して土下座で謝罪する形で返答し、まともに会話が出来るのは愛梨だけだ。
「最近若手隊士の質が派手に落ちてる。若手の育成はお前達一般隊士の仕事だろ」
「育成も何も、そもそも柱以外の隊士達の実力不足が否めないように思います」
「そもそも村田、お前は長きに渡って鬼殺隊にいながら何故未だに階級が庚なんだ。お前のような奴ばかりが生き残っているから鬼殺隊全体の質が落ちる。お前もだ栗栖、自分の実力ばかり磨かず下級隊士の育成に力を入れろ。柱になれないならせめて後輩を育てろ」
小芭内の長くネチネチとした物言いに流石の愛梨も口を挟む事が出来ず、二人はただひたすらに柱の面々からの説教を受け続ける。
柱による二人への説教は柱合会議が始まる直前まで行われ、どっと疲れた愛梨と村田は疲れた面持ちで蝶屋敷へと帰って行った。
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