弟の千寿郎に自分の心のまま正しいと思う道を進むよう伝えて欲しい。父には体を大切にして欲しいと、杏寿郎は家族への言葉を炭治郎に託す。
「それから竈門少年、俺は君の妹を信じる。鬼殺隊の一員として認める」
杏寿郎は汽車の中で禰豆子が血を流しながら人間を守るのを見たと言い、命をかけて鬼と戦い人を守る者は、誰が何と言おうと鬼殺隊の一員だと断言する。
「俺がここで死ぬことは気にするな、柱ならば後輩の盾となるのは当然だ。柱ならば誰であっても同じことをする、若い芽は摘ませない」
杏寿郎の言葉に愛梨、炭治郎、伊之助…そして意識を取り戻し合流した善逸がボロボロと大粒の涙を流す。こんなにも強く優しい人の命を奪った鬼が憎くて仕方がないない。
「栗栖、竈門少年、猪頭少年、黄色い少年…もっともっと成長しろ。そして、今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ。俺は信じる、君たちを信じる」
杏寿郎は朝日に輝く景色の中に亡き母の姿を見る。母は杏寿郎の自分のやるべき事を全う出来ただろうかという問い掛けに「立派にやれましたよ」と優しく微笑み、杏寿郎はにこりと笑って安らかに息を引き取った。
「汽車が脱線する時、煉獄さんがいっぱい技を出しててさ…車両の被害を、最小限にとどめてくたんだよね」
『こんな大きな汽車を守るなんて、煉獄さんは本当に凄いね』
「なんで来んだよ、上弦なんか…」
「悔しいなぁ…何か一つできるようになってもまたすぐ目の前に分厚い壁があるんだ」
凄い人は自分のずっと先の所で戦っているのに、自分はまだそこに行けないと炭治郎は悔しそうに呟く。力が足りず悔しい思いをしたのは、愛梨と伊之助も同じだ。
「こんな所でつまずいてるような俺は、俺は…煉獄さんみたいになれるのかなぁ」
「弱気なこと言ってんじゃねぇ!信じると言われたならそれに応えること以外考えんじゃねぇ、悔しくても泣くんじゃねえ」
「お前も泣いてるじゃん!」
「泣いてねェ!」
伊之助は猪の被り物から溢れるほど涙を流しているが、自分は泣いていないと言い張る伊之助は善逸に頭突きをする。
杏寿郎に仕える鎹鴉は主人の死を見届けると、その知らせを伝えるために空高く飛び立った。
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