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『アオイ、手伝う事ある?』
蝶屋敷へ戻った愛梨はバタバタと慌ただしく動くアオイに声を掛ける。
昨夜の任務で大勢の負傷者が蝶屋敷へ運び込まれ、アオイ達だけで世話をするのは大変だろうと愛梨は手伝いを申し出る。
「ありがとう愛梨。配りきれていない薬をお願いしてもいい?」
炊事洗濯は手伝わなくていいと強調するアオイに、愛梨は言われても手伝えないと笑って返す。
致命的に家事の出来ない愛梨が上手く作れる物といえばおはぎくらいのもで、それすらも実弥のためにとてつもない時間をかけて習得したものだ。
『(あ、昨日の猪頭君)』
愛梨は嘴平伊之助と我妻善逸の名前が書かれた薬を持ち、二人が横たわるベッドへと近付く。
『おはよう!』
「昨日ノ…」
『喋ったらダメだよ、しばらく会話は最小限ね』
「おい伊之助!誰だよその美人!いつ知り合ったんだよ!?」
愛梨は喉を負傷している伊之助になるべく声を出さないよう忠告し、薬の渡し間違いがないよう薬袋の名前を確認する。
『伊之助君と善逸君ね。私は栗栖愛梨、愛梨って呼んで』
「はい!」
愛梨がにこりと微笑むと善逸はポワンとした笑みを浮かべ、伊之助は昨日の勢いをまるで失ったかのように大人しくコクリと頷く。
『善逸君はご飯の前に早速この薬、苦くて飲み辛いけど頑張って』
「頑張りまっ…ずぅうううう!!」
『出てる出てる!』
愛梨が善逸の口から出る薬を湯呑みで受け止め再度飲むよう促すが、善逸はあまりの苦さに本当にこの薬で治るのかと疑い叫び出す。
「善逸!」
「ギャー!!」
「怪我をしたのか?山に入ってきてくれたんだな」
そこへ愛梨と同じく柱に絞られた炭治郎が隠に背負われ運びこまれ、愛梨と目が合う。
「愛梨さん、お久しぶりです」
『久しぶりだね。禰豆子ちゃんは?』
「お館様からお許しをいただいて、今は日の当たらない部屋にいます」
『そっか、良かった』
愛梨はずっと気に掛かっていた禰豆子の安否を確認する事ができ、ほっと胸を撫で下ろした。
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