小説 | ナノ




‖流れ落ちる星

きらきらと
輝く星空

風音さえなければ
静寂な空だろう

髪に連ねた金銀に輝く簪が
さらさらと揺れる…。

「阿高…」

自分自身に聞かせる様にゆっくりと唇を動かす

「あなたに
会いたいなんて
…わたくし駄目ね」

好き,
だなんて
この想いは
負担になるだけ。

(ー鈴)

「どうして気付いてしまったのだろう」

藤太の傷が言えたらもうこの地を離れると言っていた。

星がゆっくりと流れ落ちるー

涙が
頬を伝って落ちる

いつだっただろう,
博士が言っていた。

(流れ落ちる星は
願いを叶えるものだと)


「あ…たか」


わたくしより大きな手で
何度も助けてくれた阿高。

あの笑顔も
あの流した涙も
あの凛と深い色をした瞳も

今はただ愛おしいもの。

「会いたい…」

また星が暗闇を切り裂きながら
ゆくりと落ちていくー。

今はただ
彼の幸せを願う。

明日を想いながら
あなたの笑顔が失わないように…。





奇跡なのか必然なのか。

風が優しく頬を撫でる,
日差しが帳に細い光を映し出す夕刻ー。

物の怪の形をしたものが居た。

あの大きな手がわたくしの手を
強く強く握り締める。

涙が
星となって落ちる。



落ちるは星粒ー。



†苑上†




[*前] [次#]






Main



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -