例年より早く梅雨明けをした今年の7月は今日で1週間を経過した。暑い、とまではいかない言葉は窓ガラスを開けて扇風機を起動していることで察知していただける。7月も入りたてな初夏、しかも七夕な今日は星空がキラキラ綺麗に輝いていた。毎年こんなに綺麗だったか、そんなふうに私が考えたのはつい数年前からだった。それは何でかは分からない。地球温暖化?嫌だなぁ、そんなの。

そういえば商店街で笹の葉がたくさん飾られていた。小学生特有の可愛らしい願い事や、高学年になれば私よりしっかりした将来像を短冊に書いて飾られていたのを見たときなんか正直驚いた。高校3年、大学もしくは短大に行こうとは考えているけれど何をしたいのかはまだ考えていない、かつ考えられない。自分に似合う職業とか、またこうして就職活動して働いて、ごく普通に生活をしながら過ごしていくのだろうか。別に刺激が欲しいとかそういうのじゃなくて、そんな普通の生活がそれが私の幸せになればいいのだ。


時刻はいつの間にか真夜中0時にさしかかるとこだった。ただなんとなく起きていたらこんな時間だ、明日は休みだし。もうすぐで織姫と彦星はお別れの時間。そして私もそろそろ寝ようと布団をめくったとき、携帯が音をたててふるえだした。差出人と本文を見て私は慌てて窓の外を確認した。こっちを見てる沖田は早く出てこいと言わんばかりに無言のプレッシャーというのやらを訴えかけてくる。


「私、寝るとこだったのに」

「アンタが寝たとこで補習組には変わりありやせんぜ」


補習、という言葉は耳に痛い。ぶっちゃけると先週行われたテストで苦手な世界史で80点以下を取ると、大切な夏休みの1週間を補習に捧げなければならないのだ。だから死ぬ思いで勉強して、あとは結果を待つだけなんだけど…多分、大丈夫だと…。多少の言い合いをしたあとに携帯を見ながら沖田が「あ、」と口に出した。どうやらサブ画面に写っている時刻を見て声を出したようだから私も自分の携帯を見る。ちょうど0時0分、7月8日。………あ、そうか、今日は、


「沖田」

「ん」

「誕生日おめでとう」

「………」


あ、れれ?違ったか?まさか誕生日は8月7日だったとか?…あれ?沖田は私の顔を少しだけ驚いた表情で見たあと、変わらないいつもの表情で言った。


「アンタに1番に言われたかったんでさァ」

「うん」

「1番最初に会いたかった」

「…私も、1番最初に言いたかった」


そうして見上げた空はさっき以上に輝いていた。そうだ、この星空が輝きだしたのは沖田と知り合ってからだった。こうして沖田と会ってから毎年輝きが増している空、私の普通な生活が少しでも幸せに近付けてくれるのは沖田だったりするのかもしれない。いつまでも綺麗な空が私たちを見守っている。来年の今日この瞬間も2人で、1番に伝えられれば良い。空にいる織姫と彦星が私たちに微笑んでくれたような気がする。




深夜0時のプリズム
★彡



20110702