彼が今までどんな生活をしていたのか、どんな旅をしていたのか、どんな仲間がいてどうやってここまできたのか。出生も何もかも、私が彼に関して知ることはこれっぽっちと言って良いほど知らない。ただ、この島に来てから何があったのか、どうしてあの戦争にまで行ったのか、ここに来てからの彼はよく知っている。大怪我をして帰ってきたときも、ずっと涙を流した数日間も、少しの間この島で世話になると言ったあの日も。あれから彼の涙は消えた。1つ成長したかのように修行にあけくれるルフィは本当に強くなった、肉体的にも、精神的にも。

「仲間も…兄ちゃんも、誰1人救えなかった…っ!」

ルフィがどうして今ここにいるのか、あの戦争のときに何があったのか。どうして今涙を流しているのか。ここに来てからの彼なら私は知っている。ずっと笑っていたルフィの頬に何粒も何粒も涙が流れた。彼の弱音を見るのは初めてだ。同時に、笑顔が崩れてその瞳から流れ出る涙を見るのも初めてだった。


神様、どうかいるのなら。
彼に笑顔をください。初めて会ったときに見せたようなあの笑顔をもう一度、彼に、

ルフィの涙が頬に流れる。深くかぶった帽子の下にある表情なんて、分かっている。無理に笑わないで、早くあなたがいつもの笑顔を取り戻して、仲間と再会できるように。




20101209

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