なんで恋人って、今感じてる幸せって利益だけで物をあげたり薬指に指輪をはめたり、愛の言葉を何度も飽きるまで繰り返し言うんだろう。離れたくないからずっと一緒にいて、唇から始まって体を重ねて、紙切れ1枚分にも満たないかもしれない気持ちも重ねて。別れたときに辛いだけじゃない。隣にいつもいた人がいないのに気付いて、貰ったプレゼントをどうするかということに頭を悩ませて、薄っぺらな気持ちが飛んでったことに気が付く。そんな不幸せを呼ぶのなら、そんなの、私はいらない。






「なんだお前冷てーなァ」




割れたチョコレートを頬張りながらエースが言う。ミルクチョコレートの甘い香りが私の鼻をかすめた。アンタさっきご飯食べたばかりでしょ、どんだけ食い意地張ってんだ。




「お前何、昔の男のプレゼントもまさか全部捨てたのか?」

「まさか。売ってやったわ、全部で800万ベリー」

「恐ろしい女」

「ごめんなさいね」

「いや………なぁ、それってこの船の男じゃねぇよな?」




甘い甘いチョコレートのかけらをわたしの口へ一欠片運ぶ。固くも柔らかくもなかったそれは私の中でゆっくり溶けていった。




「昔住んでた島の人」

「そりゃ良かった。この船の奴だったらそいつを黒こげに燃やしちまいそうだ」




馬鹿ね。アンタが言うと洒落にならないんだから。
笑った彼の顔が愛しくて、後ろに体を預けると、暖かいエースの体が私を受け止めた。エースの手が私の体にまわる。好きだなぁって、思った。




「次の島で指輪でも買うか!」

「私の話きいてた?」

「当たり前だろ。なんだ?なまえは俺を捨てんのか?」

「まさか」




背中から、腕から、大好きなエースの熱が伝わってくる。こんな想いになるなんて初めてだし、これからもこんな気持ちになることなんて彼以外ないと思う。つまり私はそれほどまでにエースが大好きだということだ。




「私はエースが大好きだからね、私からエースを離れることなんて無いよ」




絶対にね。

少し恥ずかしいけど、これが私の本音であり本心。うまく伝わったかな。その瞬間に私を抱き締めるエースの力が強くなった。…あぁ、愛されてんだなって。




「俺だって離すもんか!」




こうやっている私たちって幸せ者なんだなぁ。更に愛しくなった、私を包むエースの腕にそっと手を添えた。これからも離さないで、離れないでずっと一緒にいたい。エースが大好きな私は、エースに愛されてる私は幸せ者です。




20100805

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