最近晋助に彼女が出来たらしい。

ちゃんと確かめたわけじゃない、ただの噂。だから別にどうとか言う訳じゃないけど、私はれっきとした晋助の幼なじみなのだ。小さいころから一緒にいた。晋助には本当見下されていたし何回も何回も悔しく思ったけど、それでも隠し事はなかった。まぁそれほど秘密もなかったけど、だけどやっぱりお互い一緒にいたし素直になれた。もう一度言う、私たちは幼なじみだ。

…だから、そういう報告くらいしてほしかったな、なんて。







「晋助、彼女できたって?」

「…………は?」




そんな顔したって知ってんだから。晋助は秘密にしているみたいだけど、女子高生は情報網が早いんだからね、馬鹿にしないでよ。

A組のお満ちゃん?C組のお冴ちゃん?聞いても晋助はさっきの返事を永遠と返すだけだった。本当は、晋助が他の女の子のところに行っちゃうなんて考えると寂しい。ずっと一緒にいた、そんな存在が私の隣から突然消える。まるで自分がお兄ちゃん離れできない妹みたいに思える。




「テメーそれ何情報だ」

「噂。結構流れてるよ」




本当、これを聞いた友達が幼なじみである私に聞いてくるのだ。私でさえ知らされてないってのにそんなの知るか。




「…あれ、違うの?」




噂は本当に噂にすぎないのか。…それなら、晋助もまだ、暗黙の決まり、とやらを守ってくれているようだけど。それが本当なのかも、分からない。突然晋助が真っ直ぐにその瞳が私をとらえたから、信じていいのか駄目なのかまた分からなくなった。




「………晋助?」

「テメーは俺と噂どっち信じんのか?」

「………?晋、キャッ!」




びっくりして後ろ手をつく。いつも以上に晋助の距離が近くて、触れそうで触れないそれに少し距離をとった。…晋助ってこんなやつだったっけ。ううん、もしかしたらからかわれてるだけかもしんない。

…なんだ、なんかドキドキする。晋助とはいつも一緒にいるけど、こんなに晋助をちかくでみるなんていつぶりだろう。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。きっとこれはそんな気持ちじゃない。きっと違う、晋助にドキドキしてるんじゃない。男の人がこうしているから、なんだ…、そうだきっとそうだ。




「素直になれよ」




ニヤリと笑った晋助は妙にイヤらしい顔をしてました。…素直になったらアンタがもっと意地悪になるじゃんか。そう告げれば晋助は、それ以上に可愛がってやると、もっとイヤらしい顔を浮かべた。




「うるさい黙れ馬鹿好き…かも」




一気に詰め込みすぎだとか、早口すぎだとか聞いてやんないんだから。言いたいことが言えればいいんだから。…さらにイヤらしい顔が私に近付いてきたのはいうまでもないけど。




20100719

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