しくじった、私としたことが。やっちゃった。


忍の世界は甘くないことくらい重々承知。むしろそれを望んで忍になったんだからね。アカデミーを卒業して、チームを組んで、みんなより一足遅れて中忍試験を受けて、だけど受からなくて。あいつにどうしても追いつきたくて、いっぱいいっぱい修行して。やっと追いついた頃にはあいつは中忍としてまた腕を上げて。アンタは笑っていったね。「遅ェ」って、何よ私より少し強いからって。だけど小さく聞こえたおめでとうの言葉に私は少しだけ泣いてしまった。やっと肩を並べられたよ、ってね。いっぱい修行したよ、チャクラのコントロールくらい得意なんだよ。そりゃ…サクラちゃんには劣るし、ヒナタちゃんみたいな力やイノちゃんのど根性さは私なんかに無いけれど。
あ、私が忍になりたい理由の一つ、教えてあげるね。たった一回しか言わないからちゃんと聞いてて。私ね、大好きな人たちを守りたいの。お父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃん先生火影様…あげればキリがないけれど、木の葉の里を守っていきたい。それでねシカマル。私は、愛する人と守っていきたい。愛する人と一緒に、大好きな人たちを守っていきたい。だから私はアンタとこの里を守っていきたいんだよ。できるかな、私なんかなんも取り柄がなくて、最初の中忍試験でもいい結果なんか残せなくて。それでも、アンタと一緒だったらきっと私大丈夫な気がするの。

だからシカマル。許して。アンタと離れて任務に行ったことを、大丈夫だよって笑って別れたあの日のこと、守れない約束をしたことを。もう私も長くないから、これで最後にします。あのね、アンタの愛する人と、アンタの愛する人たちと一緒に、私たちの大好きなこの里を守っていってください。私もアンタをずっと見守ってるから、ずっとアンタを守ってあげるから。





(目を閉じた世界は真っ暗だった。もう私の声は届かない、)



20100619

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -