最期のプレゼント-3
帰りは電車に乗って帰った。
乗客が殆どいない夜遅くの電車に揺られながら、愛と僕はずっと黙っていた。
僕は頭の回転が鈍くなっていた。
電車から降りて家まで歩いている時、空を見上げてみた。
あの大雨が嘘だったかのように、沢山の星が瞬いていた。
この空を君と一緒に見る筈だったのに。
自然と涙が零れた。
どれだけ泣いたらこの涙は枯れるのかな。
生涯毎日泣き続けるんじゃないかと思った。
自分の部屋に帰ると、僕は重たいバッグを力なく下ろし、ベットに倒れ込んだ。
力が出ない。
何も考えたくない。
僕の身体が現実世界に拒否反応を起こしていた。
華代の母親から受け取ったあの封筒の中のカセットテープ。
一体、あれは何だろう?
開封する勇気が出なかった。
もう華代がいないという現実を強引に突き付けられるような気がしたから。
頭の中が華代で一杯で、如何しようもなくて。
僕は無意識に涙を流しながら、突き落とされるように眠りに落ちた。
2009.2.7
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