prologue-2

―――先輩!

―――ん?

―――私ね、見えるようになったら

まず最初に先輩の顔が

見たいなぁ……――




「……。」

白くて大きなソファーの上で、僕はゆっくりと目を開けた。
周囲を確認したら、住み慣れた場所だった。

「またあの夢か……。」

僕は先程まで夢の中にいたみたいだ。
此処は僕の家のリビングだ。
白塗りの壁に淡いベージュの煉瓦が特徴の僕の家は、住宅街の中にある。
ソファーに座っていたら、肘掛けに凭れて、何時の間にか意識が飛んでいたみたいだ。
ゆっくりと立ち上がり、壁の掛け時計を見た。

「2時か。

どれくらい寝ていたのかな。」

にこにこと独りで微笑んでいると、ソファーの前にある低いテーブルの上のアルバムに気が付いた。
そうか、アルバムを見ていたら何時の間にか昼寝をしていたんだ。
アルバムから目を逸らし、ベランダの窓まで足を運んだ。
カーテンのレースを開けると、眩しいくらいの太陽光が僕の目に入ってきた。
ふと先程の夢を思い出す。
君と僕とで、木洩れ日の下で交わした言葉。
そう、あれは実際に僕が昔交わした言葉。
実際に会話した相手の夢。
君はこの太陽みたいに眩しい笑顔で、僕にそう言ったんだ。


―――華代


心の中で呼んでみる。
忘れられなくて、恋しくて。
君は色褪せる事なく僕の心の中に残っている。
もし君は今此処に居たら、こんな僕にどんな言葉をかけるのかな。
太陽に背を向け、再度ソファーに座った。
デスクの上にあるアルバムを手に取って開いた。
其処に写っているのは夢に出てきた君と、そして僕。
思わずクスクス笑いが漏れる。
僕、若いなぁ。

僕は不二周助。
34歳、ちなみにB型。

もう34歳か。
此処に写っている僕は17歳で、高校3年生の時の写真だ。
君は15歳で、高校1年生だ。

「華代、可愛い。」

カメラの位置が分からないから、君は少しカメラから目線が外れて、何処か違う処にピースしているみたいだ。
それがまた可愛いんだ。





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