epilogue-2

やっと、雅に全てを話せた。
重い荷物を肩から下ろしたような気分だ。
ずっと雅に話そうと思っていた。
雅は華代が命をかけて産んだ娘だ。
だから雅には華代の話を何時か聞いて欲しかった。
どれだけ素敵な母親から産まれたのかを知って欲しかった。

僕はカセットを巻き戻し、もう一度再生した。
久し振りに、華代を想いながら涙を流した。
最後まで聴くと、プレイヤーからカセットを取り出して机の上に大切に置いた。
不意に風に当たりたくなって、ベランダに出てみた。
外は真っ暗で、星が綺麗な夜だ。
この街でこんなにも星が見えるのは珍しい。

今度また、あの展望台に行ってみよう。
次は雅を連れて行こうかな。
きっとあの景色に感動してくれる筈だ。

雅に華代のことを話して、改めて華代がくれた思い出の大切さを感じた。
こんなに大切なものが出来たのは、全て華代のお陰だ。
出逢わなければ良かったと思った事は一度もない。
華代は僕にとってかけがえのない存在だ。
人を愛するという事を教えてくれたから。
僕は空を見上げた。

「華代、ありがとう。」


―――どういたしまして。


「!!」

声がした後ろの方を勢いよく振り向いた。
其処には――華代がいた。
姿が霞んでいる君は、僕に笑顔で手を振った。
その首元にはあのネックレスが輝いている。
僕は目を見開いたまま、動けなかった。
そして君は、ふっと消えた。

幻――?

再度、空を見上げた。
星が空一杯に輝いていて、とても美しく見えた。
この星の中の一つに、君はいるのかもしれない。





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