封筒-4

また涙が溢れて、止まらなくなった。
視界が滲む中、紙がもう一枚ある事に気が付いた。

P.S.
このカセットには、私が弾いた曲が入っています。

「華代が弾いた曲…?」

白いカセットテープ。
僕は涙を手の甲で拭うと、カセットをプラスチック容器から出した。
その容器には細い油性ペンで曲名が書かれていた。

チャルダッシュ

「…!」

部屋の押し入れから古い音楽プレイヤーを引っ張り出し、そのカセットを入れた。
震える手で再生ボタンを押した。
流れ出したのは、間違いなく君が奏でる音色だった。
僕が大好きな、君の生み出す音色だ。
君がこの部屋でバイオリンの練習をしていたのを思い出した。
まるで君がすぐ傍で弾いてくれているみたいで、聴いている間もとめどなく涙は溢れた。
これは華代が残したものだ。
ずっと大切にするよ。

僕はカセットを何度も何度も聴いた。
華代が傍にいる。
そんな気がしたから。



2009.2.12




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