21
就寝前の読書を済ませた私は、掛け布団を肩まで上げた。
スタンドライトの灯りを消すと、思い浮かぶのはジョージの顔だった。
目を閉じる前に、同室のルーナにぽつりと言った。
「ルーナ」
「なあに?」
ルーナが寝返りを打ち、私の方を向いてくれた。
私も同じように、ルーナの方を向いた。
「猫の事、ジョージに気付かれてるかもしれない」
「そうだね」
ルーナは全く驚かずに、寧ろ当然だとでも思っているような言い方だった。
私は情けない苦笑を零した。
「やっぱり気付かれてると思う?」
「アフロディーテの髪って特別に綺麗な色だもン。
あの猫ちゃんの毛の色を見たら、アフロディーテを連想しちゃう」
「それならやっぱり、ハリーたちも怪しんでるかもしれないよね」
「それは分からないよ。
ジョージはね、ハリー・ポッターたちよりもずっとアフロディーテを見てるから、気付くンだよ」
「ジョージが私を?」
ジョージは優しい人だから、私を心配してくれているのだろうか。
私は要注意人物であるハリーたちを監視したり、深夜のホグワーツを時々巡回している。
それをルーナは当然知っている。
ルーナが穏やかに言った。
「ジョージには知られてもいいんじゃない?」
「ジョージには…?」
この前、中庭でジョージに話を聞いて貰ったら、心が楽になった。
彼はまるで私を落ち着かせる魔法でも使っているみたいだ。
「あの人ならアフロディーテを支えてくれる気がする。
あたしと同じように協力してくれるよ」
―――俺で良ければ、何でも聞くから。
ジョージは誠実に私と向き合ってくれる。
理由は分からないけど、私に手を差し伸べてくれる。
「でももしアニメーガスだってバレたら、スネイプ先生に怒られちゃうかもね」
「そうよね…」
ルーナにはスネイプ先生が私の父の親友だったと話してある。
スネイプ先生はアフロディーテのもう一人のお父さんみたいだね、とルーナに言われたのを覚えている。
確かにそうだ。
その存在はまるでお父さんのようだ。
「アフロディーテは如何なの?
ジョージには知られてもいいと思う?」
私はこくりと頷いた。
ジョージならきっと、受け止めてくれる。
2019.9.30
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