純潔の行方

十歳で里抜けして以来、追い忍から逃れながらも、自分の道をがむしゃらに突き進んできた。
一族を陥れた全ての人間を始末する事を、生きる意味にしてきた。
それが終われば、同時に自分の生きる意味も終わる。
殺戮を繰り返した代償に自害しようと決意していたのに、その意思をデイダラに打ち砕かれた。

―――売り飛ばされて純潔を穢されるくらいなら…自らの手で命を絶て。
―――決して、一族の血を穢してはならん。

幼い頃、一族の長老が首を跳ねられる直前に言った台詞が忘れられない。
今思えば、長老の遺言はまるで洗脳のように聞こえる。
命を絶つ以外に何も手段を取るな、と。

容姿端麗な雅の一族は性処理として狙われ易い傾向にあり、純潔≠大切にする一族として知られている。
純潔≠ニは彼らにとって、自害に追い込まれるまでに大切なものだったのだ。
当時、まだ幼かった雅はそれを理解出来なかった。
現在の雅と近い年代の男女が売買されていたが、その心の内を上手く理解出来なかった。
しかし、雅も十七になる。
もし仮に、デイダラを恋人に持つ自分が売買されたとしたら。
その時、自分はどうしただろうか。





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