任務終了-3

三人は朝日を浴びながら空の旅を続けていたが、飛んでいるのはデイダラの鳥型粘土が二つだった。
雅はデイダラの腕の中で眠っていた。
デイダラの足の間に挟まれながら、背中を逞しい胸板に預けている。

「よく寝てるな…」

デイダラはフードを脱いでいる雅の頭を愛おしそうに撫でた。
俯き加減で眠っている雅の顔は、横から覗き込まなければ見えない。
こうやって腕の中に包み込んでしまうと、雅も華奢だ。
昨日は無理をさせてしまったし、デイダラが雅に寝るようにと提案したのだ。

「次の任務は何だろうな、うん」
「そろそろ尾獣捕獲の時期だ」

デイダラの呟きが聞こえていたサソリが返答した。
雅を起こさないように気を遣っているのか、サソリも普段より声のトーンを落として言った。

「雅にも暁から何らかの協力要請があるかもしれねえな」
「やっぱりそうなるか…」

デイダラは雅を抱き締める腕の力を無意識に強くした。
しかし、雅が目を覚ます様子はない。

「暁も尾獣相手となれば人員が削れるだろう」
「誰かが死ぬって言いてえのか?うん?」

雅を起こしたくないデイダラは、サソリの話に突っ込まないようにしようと思っていたが、流石に口を出した。
サソリは雅の横顔を見ながら言った。

「もしそうなれば、雅に暁加入の話が舞い込むかもな」
「…オイラは反対だ」

もうすぐターゲットを全員始末出来るというのに。
復讐を終えるというのに、犯罪組織に身を置かせたくはない。
デイダラは雅の顔を横から覗き込んだ。
雅には暁に加入しないまま、加担という形で協力して欲しい。
暁の黒装束を身に纏う雅など、想像したくない。
雅の髪に唇を寄せ、目を閉じた。

今日は深夜まで空の旅だ。
目的地である小国には、薬の調合を専門にしているという知り合いがいるらしい。
過去にその人物は雅のターゲットの影武者だった。
雅に救われた事がきっかけで、雅を暗殺者だと知りながら協力的らしい。
その国に到着すれば、デイダラは腹ごしらえして休みたかった。
出来るなら、雅と触れ合いたい。



2018.8.17




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