任務終了-2

城外へ逃げ出す悪人共もいなくなった頃。
デイダラは城の方角から冷たい風が吹いたのを感じた。

「おっと、合図だな」

デイダラは掌で造り出した何匹もの小さな鳥型粘土を、城に向かって投じた。
翼が四つある鳥型粘土は、次々と城内へと侵入した。
雅とサソリが氷の白鳥に乗って空へと出てきたのを確認したデイダラは、静かに印を結んだ。
芸術は爆発だ――。

「喝!」

城が爆音を轟かせながら大爆発し、跡形もなく崩れ落ちた。
黒煙が舞い上がるのを背景に、雅は白鳥をデイダラの鳥の隣まで移動させた。

「デイダラ」
「二人共無事だな、うん」
「さっさと行くぞ」

サソリはデイダラを前にすると、急かしたくなる。
雅に対してはそんな事はないのに。

「サソリさん、お見事でした」
「お前こそ憎悪にまみれた良い殺しっぷりだったぜ」
「それは褒めていますか?」

雅は背後にいるサソリに微笑んだ。
ターゲットの始末を手出しせずに見守ってくれたサソリに感謝している。
護衛の忍を全員始末してくれたし、雅は殆どチャクラを消費せずに済んだ。

「とりあえず宿探しだな、うん。
あの国にまた戻るのは厳しそうだぜ」

あの国に泊まるとなると、三日目になる。
得体の知れない国に連日潜伏するのもどうかと思うが、他の国は遠い。
暁がこの付近に現れるという噂を、宿主が聞きつけているかもしれない。
通報されて忍の奇襲を受けるのは面倒だ。
城が爆破されたという噂は瞬く間に広まるだろうし、この付近の国は警戒する筈だ。
サソリは少し考えてから言った。

「そろそろ遠方に移動するぞ」
「マジかよ」

雅との甘い夜を期待していたのに。
デイダラは項垂れそうになった。
サソリはそんなデイダラに目もくれずに訊ねた。

「お前は次に何処へ行くつもりだ?」
「知り合いがいる小国へ向かうつもりでした。
その近くの国に次のターゲットが潜伏しているらしいんです」
「此処からどれくらいかかる?」
「かなり飛ばして一日でしょうか」
「其処へ向かうぞ」

サソリは有無を言わせずに行き先を決定した。
どうせデイダラはこの付近で宿を取った後も、次の任務まで雅と一緒に行動したいと言って聞かないだろう。
結局ついて行く事になるのなら、今から向かうのも悪くはない。
雅について行きたかったデイダラは納得した。

「分かったよ、うん」

ターゲットの情報収集をする雅と別行動になるとしても、出来るだけ雅の傍にいられるなら、それが一番だ。
三人は移動を始めた。
これから丸一日、空の旅だ。
尾獣の封印には三日三晩を要すると聞くし、一日程度は我慢しよう。




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