誕生日デート-2

その後、イルカショーを観た。
イルカショーを観る国光を観察するのが楽しみだったあたしは、体調も終始良好。
水飛沫さえも楽しくて、上機嫌だった。
他愛もない話をしながら館内を最後まで周り、お土産コーナーまでやってきた。

『お兄ちゃんに何買おうかな…。』

店内を国光と一緒に歩き回っていると、鮫の形をした魔除けのストラップを見つけた。
お兄ちゃんはあのスマイルで充分に魔を除けている。
やっぱり食べ物にしよう。

「これは如何だ?」

国光が指差したのは、激辛ハバネロスナック。
色々なお魚の形をしているスナック菓子だ。

『ナイスチョイス!』

かごにばっちり投入した。
他にもお饅頭やチョコレートケーキを適当にかごに入れた。
お買い物中は国光と手を繋げないけど、国光がさり気なくあたしの背中に腕を回してくれていた。
時々、視線を合わせて微笑み合った。
国光は笑ってくれるんですよ、乾先輩。
お会計前、あたしがかごに何が幾つ入っているかを確認していると、お土産のチョコレートクッキーを片手に持っている国光が何かを見ていた。

「愛。」

『ん?』

国光が手に取ったのは、透明なイルカのキーホルダー。
淡いピンクと水色がペアで売っているイルカは、丸っこくて可愛い。
ピンクのイルカと目が合った気がして、顔が綻んだ。

『ふふ、可愛い。』

「欲しいか?」

『えっ、いいの?

もしかしてお揃い?』

国光が微笑んでくれた。
リア充に萌えてしまう。
…いや、ちょっと待て。
今日は国光の誕生日だっていうのに、あたしばっかり楽しんでいる。
しかも、お揃いのキーホルダーを買って貰うだなんて。
買うならあたしの方だろう。
ちょっと待てと言われるのが分かっていたかのように、国光は空いていたレジにそそくさと向かった。

レジが空いてるのを見計らったな…!
してやられた!

あたしも即座に別のレジに行き、お会計を済ませた。
それでもって、店内で待ってくれていた国光に駆け寄った。

『ちょっと国光!』

「次は観覧車か。」

『あ、うん。』

ずっと二人で乗りたかった観覧車は、水族館の外にある。
観覧車という単語であっという間に宥められてしまった。

「俺が持とう。」

『あ…、ありがとう。』

国光はあたしが買ったお土産の紙袋を持ってくれた。
ショルダーバッグのあたしは両手が空いたから、国光の腕に手を掛けた。
手を繋ぐ時よりも身体が近くて、ドキドキした。
外に出ると、随分と暗くなっていた。
水族館と観覧車がライトアップされ、幻想的に輝いている。
観覧車から水族館を見たら、絶対に綺麗だ。





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